障害者の方の就労移行支援
就労移行支援で賃金は発生する?障害福祉サービスの雇用契約や工賃を解説

雇用契約や賃金など就労支援サービスの違いを解説

就労支援の中には雇用契約を結ぶ制度もあるので、就労移行支援も対象になるか疑問に思う方もいらっしゃいます。

そこで、今回は就労移行支援制度雇用契約の観点から色々と説明していきたいと思います。

そもそも就労支援系の制度には雇用契約を結ぶ制度と結ばない制度があり、工賃が発生するかどうかといった疑問もよくあるので、そのあたりもしっかり解説していきましょう。

チャレンジド・アソウ広島事業所
管理者 サービス管理責任者
精神保健福祉士・社会福祉士

監修:中野 富美子

精神保健福祉士として20年経験し、
以前から興味のあった就労移行支援に
チャレンジする事となり現職に至る。

就労移行支援では雇用契約を結ばない

就労移行支援では雇用契約を結ばない

一般就労を目指す障がいのある方が目指す福祉支援サービスの中には雇用契約を結ぶものもあります。しかし、その中でも「就労移行支援」については雇用契約を結びません。

どういうことか解説していきましょう。

一般企業への就職・定着を目指す【就労移行支援】

就労移行支援は、障害のある方が一般企業へ就職を目標として利用する支援サービスです。18歳から65歳未満で障害のある方なら原則2年間、就労移行支援事業所で就職に必要な訓練を受けられます。(別の手続きを踏めば18際未満も可)

ただ、就労移行支援はあくまで働くために必要な訓練を受ける就職支援なので、基本的に雇用契約はありません

原則、就労移行支援では工賃は発生しない

また、就労移行支援では訓練に対しての工賃(賃金)も発生しません。

福祉分野における工賃とは、指定の作業を行った際に支払われる手間賃のことです。しかし、就労移行支援での作業は仕事ではなく訓練であるため原則的に工賃が支払われないようになっています。(そもそも利用者は制度を利用するにあたって、すでに国から支払限度額といった金銭的補助を受けているため、工賃が発生しないのは納得できる話でもあります。)

ただ、例外的に就労移行支援事業所の一部では工賃の支払いを行うところもあります。しかし、あくまで就労移行支援は就職してから給料を得て自立することを目的としているので、工賃の有無ではなく就職率や定着率などで事業所を選ぶことが重要です。

参考:「【就職や仕事探しを成功させる】就労移行支援事業所の失敗しない選び方とは

Tips.そもそも雇用契約とは

雇用契約とは、雇用側である企業と労働者が交わす契約です。一般的には書面を残しますが、双方が合意すれば口頭やオンライン上でも雇用契約は成立します。

主な雇用契約の内容は、仕事上のルールや両者の間で決めた事項を記載しますが、一般的な項目としては下記のようなものがあります。

  • 契約期間
  • 就業時間(休憩時間)
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 休日
  • 有給休暇
  • 賃金
  • 退職
  • 制裁(減給・懲戒処分)

雇用契約をちゃんと結んでおくことで両者間のトラブル防止へとつながります。なお、雇用契約は正社員のみならず、アルバイトやパート従業員も結ぶことが大切です。

雇用契約を結ぶのは【就労継続支援A型】のみ!

雇用契約を結ぶのは【就労継続支援A型】のみ!

就労移行支援と似たような福祉サービスで、就労継続支援というものがあります。この就労継続支援にはA型とB型がありますが、障害や難病を理由に一般企業へ採用されなかった、または一般就労が困難な人が就労継続支援A型を利用します。

就労継続支援A型の特徴は、就労支援を行う事業所と雇用関係を結ぶこと。事業所と雇用関係を結ぶということは、工賃も発生するため毎月給与を受けることができます。

厚生労働省の「障害者の就労移行支援対策の状況」によると、月額の平均賃金は70,720円です(平成30年度)。

就労継続支援A型は就労移行支援と同様に18歳以上65歳未満の方が利用可能で、事業所内で働きながら就職に必要な知識やスキルを身に着け、一般企業に就職できるよう支援するサービスとなります。

工賃における就労移行支援と就労継続支援A型の違い

就労移行支援は障害のある方が一般企業への就職を目指し必要な訓練やサポートを受けることになります。

就職実現後も、就労定着支援を受けることが可能で、ゴールは一般企業で継続して働くことです。

一方、就労継続支援A型は事業所と雇用関係を結び、賃金を受け取りながら経験を積んで一般企業への就職を目指します。

就労移行支援と違い、利用期間の定めがなく、工賃として給料を受け取りながら就労支援が受けられるのが特徴です。

雇用に係る契約がない「就労継続支援B型」の特徴と工賃について


就労継続支援にはA型とB型があると先に触れましたが、では就労継続支援B型はどんな人が利用するのか。

それは、障害や難病あるいは年齢・体力を理由にA型のような雇用関係を結んで業務を行うことが困難な方が対象となる支援サービスです。

したがって、年齢制限はなく、A型と同じく利用期間の定めもありません。

なお、就労継続支援B型は下記のいずれかの条件に該当する必要があります。

  1. 就労経験者で、年齢や退職を理由に一般企業への雇用が困難な方
  2. 50歳以上の方、または障害基礎年金一級受給者
  3. 1及び2以外で、就労移行支援事業所のアセスメントにより、就労面に関する課題が把握されている方

A型と同様に工賃(賃金)が発生

就労継続支援B型は、事業所と雇用関係は結ばないものの、訓練を行いながら生産活動を実施するため、作業した分に対しては賃金が発生します。

なお、厚生労働省の「障害者の就労移行支援対策の状況」によると、月額の平均賃金は15,295円となっています(平成30年度)。

やはり、雇用契約を結んでいないため最低賃金などの基準に該当せず、最低平均賃金を大きく下回りますが、近年は工賃アップが続いており改善されつつある状況です。

18歳未満の「就労移行支援」と「就労継続支援」

ここまでご説明してきた就労移行支援と就労継続支援A型、B型ですが、基本的には18歳以上を対象とした就労支援サービスとなっております。
ですが、各ご家庭の状況によっては18歳未満でも就労支援サービスを受けたいという方は一定数いるのも事実ですがこの場合に関連する情報は少ないです。

「児童相談所長の意見書」が18歳未満は必要

厚生労働省によると、18歳未満の方で就労支援サービスを利用するためには、通常の申請とは別に「児童相談所長の意見書」が必要になります。

この意見書の内容と必要な理由として、15歳以上の障害児について児童相談所長が就労移行支援サービスを受けることを適当と認め、その旨を市町村長に通知するものになります。そして、通知が行われることによって、訓練等給付費等の対象となるためです。

ご自身で児童相所長に依頼する方法もありますが、意見書の一括発出を自治体から依頼する方法を選択すると、事務負担を軽減することも可能です。

こちらの意見書を発出することで、原則18歳以上が対象となっている就労移行支援事業所によるアセスメントを受けることが可能となり、これまでご説明してきた「就労移行支援」や「就労継続支援」といったサービスを18歳未満の方も利用できます。

【まとめ】雇用契約や工賃を含めまずは就労移行支援事業所にご相談を

以上、主な就労支援のサービスには就労移行支援、就労継続支援A型、および就労継続支援B型の3つがあります。

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 一般企業への就職 就労機会を提供 就労機会を提供
対象者 障害・難病のある方 一般企業への雇用が
困難な方
一般企業への雇用が
困難な方
対象年齢 18歳以上65歳未満 18歳以上65歳未満 制限なし
利用期間 原則2年 制限なし 制限なし
雇用契約 雇用契約なし 雇用契約あり 雇用契約なし
工賃
(賃金)
なし あり(平均月収
70,720円)
あり(平均月収
15,295円)

上記の比較表のように事業所と雇用契約を結ぶのは就労継続支援A型だけとなります。

雇用契約は、働く上で雇用主と従業員の約束事であり、事業所内で労働者として仕事を行うA型以外は結びません。

こちらの表では18歳以上が対象年齢を記載しておりますが、必要な手続きを行えば18際未満の方も就労移行支援の対象となります。

就労移行支援の目標は、あくまで一般企業から内定をもらい企業側と雇用契約を結ぶことです。

自分はどんな目標があって、どんな支援が必要なのか。まずは整理をして、不明点は就労移行支援事業所や自治体の窓口に相談してみることをおすすめします。

また、相談するのであれば、ぜひともチャレンジド・アソウへお越しください。チャレンジド・アソウは就職率が85.7%、定着率90%と業界でもトップクラスの実績を残している事業所で、無料の見学会などを随時受け付けております。次のページで、チャレンジド・アソウのさらなる情報をお伝えしておりますので、ご興味のある方はぜひご覧になってください。

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