
就労継続支援B型とは、一般企業などに就職が難しい各種障害や難病を抱えている方に働き場所を提供する目的で定められた制度です。
この制度の利用は就労移行支援事業所という施設で利用することができ、働く上で必要なビジネススキル習得などどを行いながら、実際の作業を通じて経験を積んでいきます。
就労移行支援A型という支援制度との違いは雇用契約を結ばないこと。
就労継続支援B型は雇用契約を結ばないので保険などは対象外。
工賃と呼ばれる報酬も就労継続支援A型に比べて低くなりますが、毎日事業所に通所する必要がなく、労働内容も難しくないものが多いので自分のペースで働くことができます。
利用条件
就労継続支援B型の利用条件をみていきましょう。
就労継続支援B型の利用対象者がどんな人かというと、身体障害や知的障害、発達障害を含む精神障害、または難病を抱えている方となります。
また制度を利用する時点で一般企業への就職が難しく、時間がかかる方が就労継続支援B型を利用し事業所に通うことが可能。
もう少し詳しくご説明すると以下のようなケースです。
- 就職の経験はあるが、現在は理由があって難しい
- 就労移行支援制度を利用したが、就職が成功しなかった
- 特別支援学校などを卒業して、就職活動を行なったが企業からの雇用に結びつかなかった

年齢制限や利用期間

就労継続支援B型はA型と違い事業所利用の年齢制限はありません。(就労継続支援A型は18歳以上で64歳まで)
さらに制度の利用期間もありません。
障害者手帳はなくても対象者であればサービス利用可能
就労移行支援事業所で就労継続支援B型制度を利用するにあたり、必ずしも障害者手帳が必要というわけではありません。
自治体により対応は異なりますが、医師からの診断書や定期的に病院に通っているという通院証明があれば就労継続支援B型制度を利用することは可能です。
制度の利用料金
就労継続支援B型制度の事業所利用料金は前年の世帯所得の額により変わりますが、ほとんどの方が、無料で制度を利用できています。
事業所の利用料金の有無は前年度の世帯所得の額により変わります。
事業所の利用料金について
就労移行支援制度の利用期間中の利用料金は厚生労働省によって定められており、9割を市区町村が補助金で負担し、1割を利用者が就労移行支援事業所に支払います。
本人の負担額は年収や利用日数によって異なりますが、1か月の利用限度額が下記のように決まっているので、年収や利用日数が多くなってもその利用料金額を超えることはありません。
なお、収入によって利用料金の負担額が決まることから、約9割の方が0円(無料)で利用されています。

世帯収入状況 | 負担上限額/月 |
---|---|
生活保護世帯、市区町村民税非課税世帯 (おおむね年収300万円未満) |
0円 |
市区町村民税課税世帯 (おおむね年収600万円未満) |
9,300円 |
上記以外 | 32,000円 |
就労継続支援B型
就労継続支援B型は一般企業への就職が困難な方で雇用契約を結ばずに働く場所を求めている方を支援する制度。
B型は就労の機会を得る事で生産活動の知識や能力の向上が見込まれる障害を持つ方が多く利用しており、過去に一般企業に就職していたが体力面や年齢などの問題で働くことが困難になった方も含まれます。
A型と違い雇用契約がないので短時間労働など自由な働き方ができる反面、賃金(工賃)が低くなりやすい、各種保険が適用されないなどの面があります。
就労移行支援と就労継続支援の違いとは?また制度の併用は可能?
就労移行支援と継続支援それぞれの特徴をご説明してきましたが、このままだとわかりにくいのでまとめてみました。
就労移行支援と継続支援A型・B型の違い
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
---|---|---|---|
利用期間 | 原則2年 | なし | |
目的 | 就職するために必要なスキルを 身につける |
働く場所を提供する | |
対象者 | 一般企業へ就職することを 希望する方 |
現時点で一般企業への 就職が困難、または不安な方 |
|
雇用契約 | なし | あり | なし |
賃金 | 一部事業所を除きなし | あり/平均月収約7万円 | あり/平均月収約1,5万円 |
年齢制限 | 65歳未満 | なし | |
利用料金 | 前年度世帯収入による |
具体的な制度の作業内容とは
就労移行支援事業所での作業は各地方自治体の事業所によって様々。
作業時間は人により異なりますが、1時間から5時間ほどであまり負担がかからないようになっています。
作業内容は簡単の例を挙げると
- 事業所内での簡単なデータ入力
- 工場内でパッキングやピッキング
- 書類整理や仕分けなど軽作業
- 農作業
- 部品加工
- 手工芸品づくり
- 事業所が運営するカフェやレストランのホール
- クリーニングや清掃作業など

工賃(報酬)の相場はいくらくらい?
就労継続支援B型は雇用契約を結ばずに作業を行いますので、作業をした分や出来高に応じて支払われる(歩合制)出会ったり、「1日いくら」のように定額である場合があり異なります。
就労継続支援B型は雇用契約を結ばずに働くので、地方自治体が定めた最低賃金が適応されません。
相場にして月に1万5千円から1万8千円に工賃は止まる場合が多いでしょう。
これは時給にしておよそ200円から250円といったところでしょうか。
しかし就労継続支援B型は工賃が安い分、就労継続支援A型のように毎日通所する必要がない、ご自身の障害の症状や病気の状態により作業内容や作業時間が調整可能であるという点は見逃せません。
就労継続支援A型との違い
就労継続支援B型とよく比較されるのが就労継続支援A型です。
就労継続支援B型と就労継続支援A型の違いは雇用契約の有無。
就労継続支援A型はB型と同じく、一般企業への就職が不可能な障害を持つ方や難病を抱えている方が対象ですが、雇用契約を結び、週5日など通所して仕事をします。
利用期間に関しては就労継続支援B型と同じく、A型も利用に際し年齢制限や利用期間に制限はありません。
では大きな違いは何かというと、就労継続支援A型は雇用契約を結び働くので工賃ではなく報酬や給料という名目で報酬を受け取るということ。
B型は長時間の就労が困難な方や体調や精神面で不安定な方が自分のペースで働くのに向いており、A型はある程度安定して仕事をすることができる方に向いています。
A型の多くの方は仕事をしながら、最終的に一般企業への就職を果たすために仕事の経験を積みながら同時にビジネススキルを身につけていくことになります。
就労継続支援B型から就労移行支援制度への移行
一般企業への就職が難しい障害や難病を抱える方が利用する就労継続支援B型ですが、制度を利用しているうちにリハビリが進む、一定基準以上の力をつけるなどで一般企業への就職を今後志すことも可能。
その場合は、就労移行支援制度という別の制度を利用することもできます。
この就労移行支援制度は就労継続支援B型と同じく就労移行支援事業所で利用することができ、対象者は一般の会社や企業への就職を目指す様々な障害や難病を持つ方、そして18歳以上、64歳までの方が対象。
障害を持つ方でも一般的な企業や会社で働いていけるように事業所スタッフが仕事内容に関連してくるビジネススキルの習得やビジネスマナーを教えてくれるカリキュラムを用意してくれるので多くの訓練・サポートをしてくれます。
就労移行支援事業所はハローワークなどとは違うので直接求人を紹介したりすることはありませんが、就職活動のサポートや職場定着も利用2年間の間いろいろと支援してくれる心強い味方です。
ただし、工賃や給料などの報酬は就労移行支援では原則もらうことができない
このように、一般企業への就職を強くサポートしてくれる就労移行支援制度ですが、就労継続支援B型やA型と違い、仕事をすることが目的ではなく、就職することが目的のため工賃や給料などの報酬はもらうことはできないことを理解しておきましょう。
あくまでも、就労移行支援は就職を目指すための制度ということです。
しかし、就労移行支援は就労継続支援B型やA型よりもさらに実践的なトレーニングやビジネススキルを習得できるので、一般企業へ就職したい・収入(給料や工賃など)をより得たいのであれば、就労移行支援を利用し就職を目指すことは非常におすすめです。
就労継続支援B型の制度利用を申し込むには
就労継続支援B型も就労移行支援制度を申し込む際も就労移行支援事業所に直接お問い合わせいただくだけで問題ありません。
経験豊富な事業所の担当者があなたにぴったりの制度やカリキュラム、働き場所を提案してくれるでしょう。