内部障害は、免疫機能に障害があることで平成18年に厚生労働省が調査した結果によると、約107万人いると言われています。
約7割は65歳以上ですが、残りは18歳以上であるため、外見ではなかなか障害だと分かりにくいことから冷ややかな目で見られた経験がある内部障害の方も多いです。
今回は内部障害について種類や症状について紹介すると同時に一般企業へ就職したい方向けの就労移行支援制度についても解説しています。
仕事がしたいという内部障害の方はぜひ確認して頂けると幸いです。
チャレンジド・アソウ 広島事業所 /
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チャレンジド・アソウ 新大阪事業所 管理者
サービス管理責任者
監修:池田 倫太郎
株式会社チャレンジド・アソウ
立ち上げの中心メンバー。
就労移行支援事業、就労定着支援事業、
特例子会社の運営を行う。
内部障害とは
内部障害は、心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の6つの障害のことで、身体障害者福祉法に定められた身体障害の総称です。
内部障害の障害等級は、1級・3級・4級があり、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の場合は2級もあります。
内部障害者の約9割の方は、食事や着替え、排泄、入浴などの日常生活は一人でできており、食事の支度や後片付け、掃除、洗濯などの家事についても8割程度の方が一人でできています。
ですから、内部障害者の方は普通に日常生活が送れていると感じる方も多いですが、ストレスを受けやすかったり、疲れやすいなどの内部障害の症状は見た目でわかりにくいため周囲の理解を得ることが難しいこともあるようです。
内部障害とはどういう障害で、生活する上でどんなことに困っているのか、内部障害の方が必要としているサービスはどのようなものなのでしょうか。
次からは内部障害の症状を詳しく解説していきながら、内部障害の人が必要とする支援についても確認していきましょう。
内部障害の概要と原因
心臓機能障害
心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患、弁膜症、高度な不整脈などの疾患が原因で心臓の機能が低下してしまう内部障害。
適切な治療としては、手術、薬物療法、ペースメーカーの埋め込みなどを受けることで症状は安定しますが、動悸や息切れ、疲れやすいなど、体力が低下するため、風邪をひきやすかったり、他の病気を併発したりします。
従来のペースメーカーは、一度埋め込むと寿命は5年ほどで、携帯電話などの電磁波がペースメーカーに影響を与えるといわれていました。
しかし、今では機器の精密化によってペースメーカーの寿命は15年から20年に延びており、埋め込んでいる部位から30cm以上離して使えば携帯電話が影響を与えることはないと言われています。
日本では、心筋症は効果のある治療法がないため、心筋症の原因に対する治療ではなく、症状を軽減するための治療で自然治癒能力を高め、治癒を促進する対症療法が中心となりますが、欧米では心臓移植ができるので患者の日常生活は大きく改善されています。
しかし、日本では移植に関する医療は積極的に行われていないうえ、健康保険の対象ではないため、一回の移植に何千万円という自己負担金が生じてしまうためほとんどの方が移植を受けることができないため、心臓機能障害を抱えながら生活しなければならないのです。
ですが、通院や生活管理をしながら適切な治療を継続的に続けている方は日常生活も普通に送っており、内部障害でも仕事をしている方はたくさんいます。
呼吸器機能障害
肺結核後遺症や肺気腫、慢性気管支炎などの疾患が原因で肺呼吸が不十分となり、肺胞内のガス交換が妨げられて起こる内部障害です。
主な症状は、慢性的な呼吸困難、咳や息切れの症状があるため、常に息苦しい状態が続くため、階段や坂道など呼吸に負担がかかる動きをすることが困難な方も多くいます。
また、たばこの煙や人ごみなど、公衆の場に出ると避けることが難しい状況がたくさんあるため、外出すること自体が難しいという方もいます。
症状を安定させ、改善させる治療法としては、酸素療法、薬物療法、吸入などがあります。ここ数年は、鼻にチューブを入れて、携帯用ボンベから酸素をとりこむ在宅酸素療法を行う人も増えています。
在宅酸素療法を行うことで、日常生活の息苦しさが随分改善されますが、携帯用ボンベを常に持ち歩かなければならないため、見た目の恥ずかしさなどの理由で抵抗を感じている人もいるようです。
呼吸器機能障害者の多くは、病気の進行度合いや体調が急変すること、病気の予後がわからないこと、仕事に就けるかなどの不安や精神的なストレスを感じている方もいます。
腎臓機能障害
慢性腎不全、糖尿病性腎症などの疾患が原因で腎臓の機能が低下してしまう内部障害です。
食事、薬物、運動などの保存療法を適切に行っていて症状が安定している方は日常生活に困難さを感じることは少ないようですが、普通の人より疲れやすいという特徴があります。
保存療法で改善できない症状がある場合には、体調の改善のために人口透析を行うこと必要があります。人口透析は、1回4時間、週に数回行う必要があり、1回の透析に4時間ほど時間がかかりますので、通院が心身の疲労につながることもあります。
また、一回の治療に半日ほど時間がかかるため、仕事を続けながら透析を受けるのが負担となることもある内部障害の1つです。
透析は、定期的に受けなければならないので長旅などはできないと思われがちですが、手続きをすれば旅行先の病院で透析を受けることができます。しかし、慣れない所での透析に抵抗がある方が多いため、利用している方は少ないのが現状です。
膀胱、直腸機能障害
脊髄損傷、先天性奇形、炎症性疾患、悪性腫瘍などの疾患が原因で膀胱や直腸の機能低下又は喪失することで排泄機能が妨げられる症状も内部障害の1つです。
排尿と排便のコントロール、ストーマのケア、食事など、生活管理をきちんと行えば日常生活を送ることは可能です。
ストーマとは、人工的に造設した腸内容や尿の排泄孔のことです。身体障害者福祉法で補装具として交付されますが、ストーマを造設したことで精神的ショックを受けている方や性機能障害が起こり負担を感じる方もいます。
排尿と排便のコントロールというのはとても大変なことで、例えば、週に1回下剤を飲まなければならない方であれば、夜下剤を飲むと、下剤のその影響があるため翌日は外出ができません。
オムツを使用しているであれば、1日に数回オムツを交換しなければなりませんので、トイレに時間がかかりますし、外出先では狭いトイレでは交換ができない、オムツを捨てるごみ箱がないなど、困ることがたくさんあるのです。
オムツを持ち歩くことや、便・尿や臭いが漏れるのではないかと周囲の目が気になって不安やストレスに感じる内部障害の1つです。
小腸機能障害
クローン病、小腸軸捻転、先天性小腸閉塞症などの疾患が原因で小腸機能の低下又は喪失のために栄養の維持が困難になる消化吸収をつかさどる器官の内部障害です。
治療法は、食事制限や食事のコントロールが中心となります。
例えば、プリンや豆腐は食べられてもこれ以外の食べ物の食事摂取はできませんので、寝ている間に鼻から管を入れ栄養を落とすことで栄養補給を行います。
口から何も食べることができない完全絶食が必要な人は、栄養素を静脈から直接注入する中心静脈栄養という栄養法を行います。
小腸機能障害は、内部障害の中でも食生活にかなり制限があるため、外食や宴会などでは食べたくても食べられませんし、人に勧められても断わらざるをえないため、本人の精神的負担はとても大きいようです。
本人が内部障害のことを相談できる環境や、飲食を強要しない環境づくりが必要なのです。
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したことが原因で免疫機能が低下してしまう内部障害です。
免疫機能が低下するため、ウイルスや細菌などの弱い病原体でもすぐに感染し病気になったり、脳や神経に症状が出たりすることがあります。
HIVは感染力がとても弱いので、体液を通さない限り一緒に生活しても感染することはありませんが、周囲の誤った知識や間違った情報による病気に対しての差別が大きな問題となっています。
平成10年4月から、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、内部障害の1種として身体障害者福祉法による障害認定の対象となりました。
障害者手帳を取得できれば医療費は助成されますし、各種手当の交付を受けれるなど様々な福祉制度を利用することができるのですが、障害者手帳には、住所、氏名はもちろんですが、疾病名、写真などの個人情報が掲載されるので周囲の偏見を気にして申請しない人もいるようです。
名称 | 概要/配慮してほしいこと |
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心臓 機能障害 |
【概要】 全身に必要な血液を送り出すポンプの役割をはたす心臓の機能が色々な病気によって低下してしまう内部障害 【配慮してほしいこと】
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呼吸器 機能障害 |
【概要】 呼吸器や他の色々な病気により、肺の機能が低下して酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかずに酸素が不足する内部障害 【配慮してほしいこと】
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腎臓 機能障害 |
【概要】 色々な病気により腎臓の働きが悪くなり体に有害な老廃物や水分を排泄できなくなり、不必要な物質や有害な物質が体の中に蓄積する内部障害 【配慮してほしいこと】
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肝臓 機能障害 |
【概要】 様々な原因によって肝臓の機能が低下する内部障害で倦怠感や黄疸、浮腫、あざができやすい、易感染性、食堂・胃の静脈瘤破裂による吐血、意識障害などが生じやすくなる 【配慮してほしいこと】
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小腸 機能障害 |
【概要】 様々な原因によって、小腸が広い範囲に切除された場合、小腸の病気によって働きが不十分で消化吸収が妨げられ、通常の径口摂取では栄養維持が困難な内部障害 【配慮してほしいこと】
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膀胱・直腸 機能障害 |
【概要】 尿をためる膀胱、便をためる直腸が様々な病気のために機能低下又は機能を失ってしまった内部障害 【配慮してほしいこと】
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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害 |
【概要】 HIVというヒト免疫不全ウイルスがヒトに感染すると白血球の一種であるリンパ球を破壊し、免疫機能を低下させ、発熱、下痢、体重減少、全身倦怠感などが現れる内部障害。特定の病状が現れた時、エイズ(後天性免疫不全症候群)の発症となる。免疫機能が低下すると、様々な感染症等が起こりやすくなる 【配慮してほしいこと】
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内部障害の人に必要なもの
内部障害者の方に必要不可欠なものは、医療費助成と公費負担です。
内部障害は治療が長期化することが多く、高額な医療費を必要とするケースが多いので、身体障害者手帳を取得して医療費助成を受けないと生活が保障されません。
しかし、医療費の助成を受けられる補装具などの対象範囲もまだまだ限られているうえ、医療・福祉サービスについて情報を得たり、相談できる施設や場所が少ないという点も問題となっています。
内部障害の人の就職
内部障害の方が就職を目指す際にあたっていくつか重要なチェックポイントがあります。
それは、内部障害の方が無理なく仕事をするためには、「医療設備」「勤務時間の調整」「体力的な配慮」が働く上で重要なポイントとなります。
内部障害の方が安心して働ける雇用環境とは
内部障害の方が就職する条件としては、突然の体調不良に対応できる雇用環境かはとても重要なポイントとなります。
仕事中の体調不良などに備えて健康管理室を設置し産業医や看護師が在籍している職場だと安心して仕事ができるのでおすすめです。
また、産業医や看護師が常駐していなくても定期的に職場へ出向き、社員向けの健康相談などを行っている企業もあります。
健康管理室や産業医や看護師の常駐がない場合でも、圧計や心電図、AEDなどの最低限の医療機器の有無もあらかじめ確認しておくことが、内部障害の方が仕事をするうえでは大切な雇用環境です。
内部障害の方に配慮された各種支援制度
内部障害の方が就職した後、長く働くためには雇用環境と同じくらい体調管理も必要不可欠となります。
そのため、通勤ラッシュを避けて通勤できるフレックスタイムの導入などの各種制度がある会社だと、内部障害の方でも安心して働くことができます。
また、内部障害の方は定期的に通院をしなければならない方もいますので、働きながら治療できるよう雇用側の理解は必要不可欠となります。
有給休暇を利用できるか、勤務時間内の定期通院を認めてもらえるかなど就職前の面接などの段階で相談しておく必要があります。
内部障害の方が注意しておきたい仕事内容
せっかく就職しても内部障害の方は体力的に無理がある仕事だと長く務めることができなくなってしまいがち。
重い荷物を持つことがあるのか、階段の使用を伴う仕事なのか、長時間の立ち仕事なのかなど就職前に具体的に確認しておいたほうがいいでしょう。
その他、内部障害の方は、残業の有無や、急な体調不良などで早退せざるを得ない場合や出勤できない場合が出てくる可能性があることを踏まえて、業務の分担ができる体制なのかを確認をしておくことも必要です。
内部障害の方が就職活動で大切なことは、採用担当者に自分の内部障害について症状や内容を的確に伝えることが大切となります。
しかし、内部障害の方にとっては就職に内定に影響してくるため、勇気が要りますよね。
こんなときは就労移行支援を行なっている事業所を利用することをおすすめします。
就労移行支援は、内部障害を抱えていても担当者がその方に代わって様々なことを事前に伝えてくれますので就職活動がスムーズに進みますので一人で悩まずに就労移行支援を行なっている事業所を利用することをおすすめします。
就労移行支援事業所とは
就労移行支援事業所とは身体障害、内部障害、精神障害、難病など様々な障害を持つ人たちが一般企業への就職を目指して訓練や社会復帰のサポートを得られる場所です。
障害者福祉手帳を所有が利用する要件となっておらず、医師の診断書等があっても就労移行支援サービスを利用できます。
内部障害の1つに認定されたHIVについては、周囲の目もあり障害者福祉手帳を取得していない人が多いと触れましたが、就労移行支援は利用できる可能性が高いです。
就労移行支援は、最寄りの就労移行支援事業所で利用することが可能で、料金は世帯収入によって変動することが多いですが、無料で利用している人がたくさんいます。
もし、世帯収入がある場合は、就労移行支援事業所や市町村区の自治体に相談してみることをおすすめします。
就労移行支援事業所の利用できる対象者は18歳以上65歳未満の内部障害の方です。
では、就労移行支援事業所ではどんなサポートサービスが受けられるのかを次からは詳しく確認していきましょう。
多くの障害者が就労移行支援事業所を利用する理由
内部障害の方をはじめ、多くの方が就労移行支援事業所を利用している理由は何なのか。
ここでは就労移行支援事業所を利用する主な理由について確認していきましょう。
仕事に必要なスキルや知識が習得できる
就労移行支援事業所では、内部障害の方が仕事や社会復帰を行ううえで必要なビジネスマナーやスキルなどを訓練することができます。
担当してくれる就労移行支援事業所のスタッフは障害者の雇用支援のプロ。
したがって、内部障害の方が自分では気づかなかった特性や長所を就労移行支援を通じて発見することも可能で、新たな目標や就職希望先が見つかったります。
また、就職活動に入る前に就労移行支援事業所が提携する企業の職場で実際に働く機会の場も用意されていることが多いです。
実際に仕事をすることで、改善点や向き・不向きが再確認できたり、問題の原因や課題の洗い出しにもつながるため、就職活動では明確な目標を持って取り組むことができるようになります。
雇用主や職場からの理解を得て仕事ができる
就労移行支援事業所では、ハローワークなどと連携しながら就職活動をサポートします。
その際に、内部障害であることを雇用主側へ詳しく説明を行い理解を得た上で働くことができるため、入社ごも内部障害の治療や症状に応じた勤務形態を取ることも可能です。
職場の理解を得られることで、ストレスを溜めることなく内部障害と上手く付き合いながら働いていけることで安定したキャリア形成も期待できます。
就職後も継続的なフォローが受けられる
障害者雇用の場合、内部障害の方だけでなく採用してもすぐに辞めてしまうと雇用に躊躇してしまうケースも多いです。
しかし、就労移行支援事業所で訓練を受けた障害者は、勤務態度が良いだけでなく継続して働いてくれると評判が良いことがあります。
就労移行支援事業所で訓練した経験も大きな理由の1つですが、継続支援も長期的な勤務を後押ししています。
内部障害の方が就職するまでがゴールではなく、就労移行支援事業所では入社後も継続して働けるよう定期的にフォローを行い、仕事の悩みや人間関係の相談を受けて問題があれば、雇用側と交渉や問題解決に向けて協議してくれます。
一般就労が困難でも就労継続支援が受けられる
就労移行支援事業所で訓練を受けても一般企業へ就職できない場合もあります。
特に、内部障害の方は症状によっては長時間仕事をすることが難しい人もいることでしょう。
しかし、就労移行支援で一般企業での雇用が難しい場合は、就労継続支援を利用することが可能です。
就労継続支援はA型とB型の2種類がありますが、どちらも一般の事業所(企業)で働くことが困難な人に働く機会を設ける制度となります。
内部障害の方でも無理なく症状に合わせて働くことできるため、自分のペースで社会復帰が目指せる点が就労継続支援の魅力です。
弊社の就労移行支援で一般企業への就職を目指しませんか?
今回は内部障害の症状や種類、事例について紹介すると同時に、内部障害の方が一般企業への就職を目指せる就労移行支援制度について解説してきました。
内部障害の方で就職を諦めている人は、就労移行支援事業所をいちど利用してみてはいかがでしょうか。
新たな発見や自信につながる機会が就労移行支援事業所ではたくさん用意されています。
弊社チャレンジド・アソウも就労移行支援事業所として豊富な就職支援実績とネットワークが有しています。
まずは、就職の悩みや相談など些細なことでも構いませんのでお電話でもお問い合わせフォームからでもご連絡をお待ちしております。