構音障害(こうおんしょうがい)のある方は言葉を適切に発音できず、人とのコミュニケーションをうまくとれないことがあります。就職活動でお困りの場合は、地域障害者職業センターや就労移行支援事業所など、障害のある方の就職を支援するサービスを活用するのがおすすめです。
この記事では、構音障害の症状や困りごととともに、構音障害のある方が働きやすい仕事や就職活動時に利用できるサポート機関をご紹介します。仕事探しがうまくいかず困っている方、就職に必要なスキルを身につけたい方はぜひ参考になさってください。
チャレンジド・アソウ大阪事業所
職業指導員
監修:野村 一美
短期大学卒業後、一般企業の経理・総務・
人事・営業職を経験。その後、
以前から興味があった福祉に前職から携わることになり、計画相談員として従事しておりました。
構音障害(こうおんしょうがい)とは
構音障害とは、言葉を発する際の「構音(発音)」がうまくできない状態をいいます。言葉を音にするには構音器官を適切に動かす必要がありますが、構音器官やその動きに何らかの問題がある場合、言葉としての正しい発音ができなくなります。
構音障害の原因
構音障害は、構音器官の形態異常による「器質性構音障害」、神経筋系の異常による「運動障害性構音障害」、明らかな原因はないものの特定の音を正しく発音できない「機能性構音障害」の3つに大別されます。器質性構音障害は病気やケガによる構音器官の欠損、運動障害性構音障害は脳卒中や脳外傷、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの病気が主な原因です。一方、機能性構音障害の原因は明らかになっておらず、構音器官の運動機能の未熟さや誤って身についた発音のクセなどが影響していると考えられます。
構音障害の治療法
構音障害の場合、主に歯科医師と言語聴覚士が個々の症状に合った治療・訓練にあたります。具体的には、正しい発音を身につけるための構音訓練、発音改善のための外科的治療や補綴(ほてつ)的発音補助装置の適用などがあります。
構音障害のある方の困りごと
構音障害のある方は言葉の発音がうまくできないため、話の内容が相手に伝わりにくく、人とのコミュニケーションに支障をきたすことがあります。構音障害は自分が話したいことや相手が話していることは問題なく理解できる分、発音の問題で意思疎通がうまくいかないことに焦りや苛立ちを感じることも多いでしょう。
構音障害の方におすすめの仕事や職場環境は?
構音障害のみの場合、相手の話す内容を理解する能力や自分が伝えたい内容をまとめる能力には何ら支障がないため、文字を使ったやりとりやコミュニケーションは問題なくできます。構音障害のある方が新たな就職先を探すなら、文字ベースのコミュニケーションが中心の仕事や構音障害に理解のある職場を選ぶとよいでしょう。
構音障害の方に向いている仕事
構音障害で人とのコミュニケーションに不安に感じている場合は、不特定多数の人と接する機会が少ない仕事が向いているでしょう。たとえば、在宅勤務もしやすいライターやプログラマー、データ入力や資料作成などパソコン業務が中心の一般事務職、黙々と作業できる清掃職などがおすすめです。
構音障害の方が働きやすい職場環境
構音障害の方が働きやすい職場環境は、障害者雇用に積極的な企業や合理的配慮に理解のある職場です。障害者雇用とは障害のある方だけの採用枠で雇用することで、仕事上の障壁を取り除くための合理的配慮を得やすいと考えられます。
また、特定の場所に出社せずに自宅を仕事場にする在宅勤務という働き方もあります。仕事内容にもよりますが、メールやチャットツールを使ったコミュニケーションが中心となるため、構音障害のある方もストレスなく働けるでしょう。
構音障害の方が就活で利用できるサービス【ハローワーク・就労移行支援など】
構音障害のある方が就職活動をする場合は、ハローワークや地域障害者職業センター、就労移行支援事業所などのサポート機関を利用できます。専門家からのアドバイスや適切な指導、訓練といった就職に関するサポートを受けたい方は、こうしたサービスの利用を検討してみましょう。
ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワーク(公共職業安定所)では、障害のある方のみを対象とした求人を公開しています。また、障害に関する専門知識を持つ相談員を配置し、実務に必要な技能を身につけるための職業訓練の案内、必要な配慮についての求人企業への説明、企業の採用面接への同行など、さまざまな形で障害のある方の就職をサポートしています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、ハローワークとの連携のもとで障害のある方に対する職業リハビリテーションを提供しています。個々の状況に応じた職業評価、基本的な作業遂行力や対人対応力を身につけるための訓練のほか、雇用管理に関する事業主からの相談、援助にも対応しています。
就労移行支援事業所
就労移行支援とは、一般就労を希望する障害のある方の就職をサポートするサービスです。就労移行支援を提供する事業所では、障害のある方の就職相談やアセスメント、就労に向けた準備訓練、職業紹介、マッチングの調整、就職後のフォローアップなど、さまざまな支援をおこなっています。
障害を抱える方の就職活動を一貫サポートする就労移行支援事業所
就職活動がうまく進まない、就職しても長続きしにくいなどの悩みがあれば、障害のある方の就職活動を一貫してサポートする就労移行支援事業所の利用がおすすめです。就労移行支援事業所は全国におよそ3,000か所あり、障害のある方の就労と職場への定着を支援しています。
就労移行支援事業所の特徴
就労移行支援は、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスのひとつです。通常の事業所への雇用について、可能と見込まれる場合は就労移行支援、困難と見込まれる場合は就労継続支援A型・B型を利用します。
就労移行支援事業所を利用できる期間は2年までとされていますが、必要性が認められれば最大1年間の更新が可能です。また、平成30年4月からは要件を満たす65歳以上の方も就労移行支援事業所を利用できるようになっています。
おすすめの就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」
就労移行支援サービスを提供する「チャレンジド・アソウ」は、福岡や広島、大阪の7か所に事業所があります。パソコン講習やビジネスマナー講座、電話対応など、実務に欠かせない実践的なプログラムを開講し、一人ひとりに合わせたオリジナルカリキュラムを作成。定期的な面談で個々の進捗状況や悩みをその都度確認するため、トレーニングについていく自信がない方、就職活動に対する不安を抱えている方も安心してご利用いただけます。
●チャレンジド・アソウの卒業生が活躍している業界
小売、電気・通信、介護、官公庁、システム、ビルメンテナンス、飲食店、医療、教育、金融、旅行業 etc.
まとめ
構音障害とは、構音器官の形態異常や神経筋系の異常などにより、言葉の発音がうまくできない状態のことです。適切な発音で言葉を発せられないため、自分の考えや意見が相手に伝わりにくく、コミュニケーションに支障が生じることがあります。
障害のある方の就職をサポートする就労移行支援事業所では、職業相談からスキル習得の訓練、職場定着まで一貫した支援を提供しています。就労に不安がある方も、個々に合ったトレーニングを通じて少しずつ自信をつけていけます。チャレンジド・アソウでは職場見学や体験利用も受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。