軟骨異栄養症の症状がある方は、就労移行支援を利用することで就職活動がしやすくなります。
軟骨異栄養症は原因や治療法がわからない疾患でした。しかし、現在では研究により原因が解明され、成長ホルモン治療といった治療法も確立されました。
就職では就労移行支援事業所を利用することで、就労に必要なスキルを獲得できます。
当記事では、軟骨異栄養症の症状がある方の症状や治療法だけではなく、就職状況や障害者・難病向けの就労移行支援の概要について解説します。
チャレンジド・アソウ博多事業所
就労支援員 精神保健福祉士
監修:山本 慎也
15年に渡りテレマーケティング会社等にて
人材育成・マネジメント業務に従事。
行政コールセンターの構築にて福祉に
触れたことがきっかけとなり現職に至る。
軟骨異栄養症とは
軟骨異栄養症とはどのような病気でしょうか。詳細な症状や治療法を確認しましょう。
軟骨異栄養症の概要
軟骨異栄養症とは、先天性の骨の病気で軟骨無形成症と軟骨低形成症の2つの疾患に分類されます。
疫学研究によると、軟骨異栄養症の発症頻度は、軟骨無形成症が2万人に1人、軟骨低形成症が軟骨無形成症の1/8ほどです。
また、両親のどちらかが軟骨無形成症の症状がある場合は、その子供は1/2の確率で症状が出ることも、疫学研究によりわかっています。
低身長や脊椎変形、四肢の短縮などの症状
軟骨異栄養症は下記のように様々な症状があります。概要だけではなく
- 四肢が短い
- 低身長
また、軟骨無形成症・軟骨低形成症ごとに特徴的な症状があります。
軟骨無形成症の特徴
- 成長期に身長はあまり伸びず成人の平均身長は男性で130cm、女性で120cm
- 特徴的な顔面(額の突出や大きい頭部など)
- 三尖手(手を広げたときに中指と薬指が離れる状態)
- 脊椎の変形
- 生後すぐに診断される
軟骨低形成症の特徴
- 軟骨無形成症と比較して症状は軽く合併症もほとんどない
- 9%の頻度で軽度の精神発達遅滞がある
- 乳児期より手足の短さが目立ち始める
なお、軟骨低形成症の場合は、出生時にあまり診断されず、顔面に軟骨無形成症のような特徴はありません。
臨床研究によって軟骨異栄養症の病因は解明されている
軟骨異栄養症の病因(原因)は解明されています。軟骨異栄養症の病因は、軟骨細胞の増殖・分化にかかわるfgfr3(線維芽細胞増殖因子受容体3)遺伝子が突然変異することです。
そのため、軟骨細胞の増殖や分化が進まず、成長障害を引きおこします。
骨が伸びるためには骨の軟骨細胞が増加して、通常の骨に変わるという過程があります。
その過程がうまくいかないため、軟骨異栄養症の症状がある方は身体的な成長が少なく、短い四肢や低身長などの症状があるのです。
成長ホルモン治療や骨延長術などの治療法と予後
軟骨異栄養症の根本的な治療法はありませんが代表的な対処療法の治療としては、成長ホルモン治療と骨延長術の2つものがあります。
その他には、水頭症ではシャント手術、脊柱管狭窄症では外科的減圧術などの治療が行われます。
成長ホルモン治療
成長ホルモン治療は3歳以降に行い、成長ホルモンを投与し骨を成長させることで身長を伸ばす治療法です。
軟骨異栄養症の子どもも通常の成長ホルモンの分泌はありますが、より多く成長ホルモンを投与することで、身長がよく伸びる効果があります。
胴体よりも手足を伸ばす効果があるため、予後としては身長だけではなくプロポーションの改善効果が期待できます。
骨延長術
骨延長術は10~16歳の成長期に行われる外科的な治療で、骨を切り創外固定器を装着して少しずつ骨を伸ばす治療法です。延ばす速度は1日約1mmで、一つの骨で約10cm伸ばすことが可能です。
ただ、関節拘縮といった合併症のリスクがあり、伸ばす長さに比例し発症頻度が高くなるため慎重な治療をする必要があります。
軟骨異栄養症と合併症
軟骨異栄養症の合併症としては下記のものがあります。
- 水頭症
- 睡眠時無呼吸症候群
- 脊柱管狭窄症
- 中耳炎
- 下肢の曲がり
軟骨低形成症では、軟骨無形成症のような合併症はほとんどありません。
軟骨異栄養症の症状がある方の就職活動
軟骨異栄養症の症状がある方の仕事や就職支援制度にはなにがあるのでしょうか。今後の就職活動を進めるためにも現状をしっかり把握しておきましょう。
軟骨異栄養症の症状がある方の就職状況|「つくしの会」軟骨無形成症患者・家族の会の事例
まず、軟骨異栄養症の就業率は定かではありませんが、「つくしの会」軟骨無形成症患者・家族の会のホームページによると、軟骨無形成症の症状がある方で下記の就職事例があります。
- 公務員
- 学校で取得した資格を生かして仕事をしている方
- 身体障害者手帳を活用して仕事をしている方
- 医師
(参照「よくある質問と回答(乳幼児期~成人まで)」「つくしの会」軟骨無形成症患者・家族の会/http://www.tsukushinokai.net/open/faq/post-6.html)
このように軟骨無形成症の症状があっても働くことは可能です。ただ、自分の症状と向きあいながら就職活動をすることが大事です。
その他の難病の症状がある方の就職状況
軟骨異栄養症以外の難病の症状がある方の就業率は、疾病別や障害者手帳の取得の有無によっても違います。
原発性免疫不全症候群・もやもや病・潰瘍性大腸炎・クローン病・再生不良性貧血の症状があって、障害者手帳を取得していない方の就業率は、一般と比較して変わらないか90%以上でした。
また、パーキンソン病・脊髄小脳変性症の症状がある方や、全身性強皮症や多発性硬化症
症状があって障害者手帳を取得している方の就業率は、一般と比較して50%未満でした。
(参照「難病のある人の雇用管理マニュアル」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター/https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/p8ocur0000000x70-att/kyouzai56.pdf)
このように症状が軽い方なら就業率は一般の方とあまり変わらず、症状が重い方なら低い就業率であることがわかります。
軟骨異栄養症の症状がある方への就職支援制度
軟骨異栄養症やその他の難病の症状がある方は、様々な機関からの支援を受けて就職活動ができます。
例えば、難病相談支援センターでは必要な情報や助言を受けられます。また、ハローワークの難病患者就職サポーターは、症状の特性をふまえて就職支援する専門職です。就職支援だけではなく在職中に難病を発症した方に対して、雇用継続を踏まえた総合的に支援します。
就労移行支援を利用した就職活動
軟骨無形成症や難病指定された366疾病の方は、身体障害者手帳を取得せずに障害者総合支援法の就労移行支援を利用できます。
なお、軟骨低形成症は指定難病ではないので同サービスの対象ではありません。
就労移行支援とは
就労移行支援とは就職を目指している障害者や難病の症状のある方が、就職に必要なスキルや知識などを獲得するための訓練を受けるサービスです。具体的な内容は下記の通りです。
- 職業訓練
- 就職活動の支援
- 就職後の定着支援
就労移行支援事業所は一人ひとりの利用者と面談して、個々の状態にあわせた目標や実施する訓練などを踏まえてプランを作成します。
そのプランが個別支援計画です。同計画にもとづいて、原則2年間の利用期間で訓練に取り組むことが就労移行支援の特徴です。
就労移行支援では、就職した後も就労移行支援事業所のスタッフが定着支援をします。職場での悩みやストレスなどの相談の他、場合によっては勤務先と調整もします。
軟骨異栄養症の方の就労移行支援サービス利用状況
実は軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状がある方は、就労移行支援をあまり利用していません。
平成30・31年時点で就労移行支援や就労継続支援(A・B型)の就労系福祉サービスを利用中、または過去に利用した方は8%以下です。
なお、就労継続支援は一般的な就職が難しい方を対象としたサービスで、就労移行支援とは違い就職を目指しません。
軟骨異栄養症の症状がある方が就労移行支援事業所を選ぶポイント
軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状のある方が、就労移行支援をあまり利用しない状況において、なにをポイントに就労移行支援事業所を選べばよいのでしょうか。
就労移行支援事業所を選ぶポイントとしては、軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状がある方の支援に慣れている事業所を選ぶことです。
なぜなら、就労移行支援事業所が支援をしている利用者の多くが知的障害や身体障害のある利用者です。軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状がある利用者がとても少ない状況があります。
軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状のある方の9割以上が、就労移行支援事業所といった就労系福祉サービス事業所を利用していない、また、過去に利用したことがない事実があります。
そのため、軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状がある方の支援に慣れた就労移行支援事業所を選ぶことが、事業所選びのポイントです。
難病の方の就労移行支援が得意な就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」
「軟骨異栄養症をはじめとする難病患者の支援に慣れた就労移行支援事業所」と言われても、多くの方はイメージが湧かないかもしれません。
そこでおすすめの就労移行支援事業所がチャレンジド・アソウです。チャレンジド・アソウは軟骨異栄養症をはじめとする難病支援に慣れた就労移行支援事業所です。
また、チャレンジド・アソウは就職後の定着支援に力を入れている就労移行支援事業所です。就職してから半年後の職場定着率は、93.1%と業界最高レベルを誇っています。
就労移行支援事業所選びで悩まれたら、ぜひチャレンジド・アソウに相談してみてください。
まとめ
軟骨異栄養症の症状がある方の就職活動を成功させるコツは、就労移行支援を利用することです。
そのためには、軟骨異栄養症をはじめとする難病の症状がある方の支援に慣れた就労移行支援事業所を選ぶことです。
軟骨異栄養症の症状がある方の支援に慣れた就労移行支援事業所に通所して、就職活動を成功させてください。