アスペルガー症候群の方はもちろん、その他の障害をもっている方の仕事選びは非常に大切。適職を見つけられるかどうかで、就職した後に継続して働けるかどうかにも影響してきます。
しかし、その仕事がアスペルガー症候群に向いてる、向いてないという判断は自分だけでは難しいもの。
そこで、このページでは、アスペルガー症候群の方に向いている仕事について、障害の特徴と併せて一緒に見ていこうと思います。
アスペルガー症候群のあなたの仕事選びの参考になるかと思いますので、ぜひ実際に働くイメージをしながらご覧ください。
チャレンジド・アソウ 広島事業所 /
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チャレンジド・アソウ 新大阪事業所 管理者
サービス管理責任者
監修:池田 倫太郎
株式会社チャレンジド・アソウ
立ち上げの中心メンバー。
就労移行支援事業、就労定着支援事業、
特例子会社の運営を行う。
アスペルガー症候群の特徴による社会的障壁
アスペルガー症候群は、脳の機能障害で広汎性発達障害「自閉症スペクトラム障害(ASD)」とほぼ同じ群であり、言語や知的な障害は伴いませんが、特徴の現れ方によっては社会への関心や対人関係といった面で特異性が見られます。
アスペルガー症候群の特徴は一見しただけではわかりづらいため、軽度であれば気が付かずに過ごしている人もいます。
しかし、程度には差がありますがアスペルガー症候群の特徴によって日常生活・社会生活を過ごす上で対人関係や仕事の上で障害が生じることが多くあることも事実。
以下では、アスペルガー症候群に関して対人関係と仕事関係でよくみられる3つの社会的障壁を具体的な例を挙げながら紹介します。
コミュニケーションに関する障害
極端な判断と集中力
人や物事に対する興味が極端であるとされています。白か黒の二者択一的思考は融通が利くものでなく、グレーゾーンがありません。
仕事に関しても、好きなことには隣で何が起きても気に止めず集中する「過集中」になり、集中が切れた後は激しい脱力に襲われることがあります。
親しくなりたい気持ちがない
アルペルガー症候群の特徴として、人との距離感が近すぎる人もいれば人と接する必要を感じない人もいます。
誰にでも一人になりたい時はありますが、アスペルガー症候群の人の中には、対人関係を持つ必要性を感じない人もいますので、仕事上での対人関係に影響が出る場合があります。
限られる環境
アスペルガー症候群の人は感覚の過敏さから、環境によって発揮される能力が大幅に違います。室内での光、人の会話が飛び交うようなにぎやかな場、音を発する物、肌に触れる物の感触など、苦手なものが多く、仕事をする上で働く環境が制限されるものが多いとされています。
想像性に関する障害
人の気持ちを想像する
親しくない人や目上の人に対して「太ってますね」「面白くない」「狭い所だなぁ」というように、言われた相手がどう思うかよりも、見たまま思ったことを伝えることで相手を怒らせてしまう傾向があります。また、仕事においても周りとの認知の歪みが原因で会話がスムーズに進まないことがあります。
人との距離感がつかめない
対人関係において「人付き合いが苦手」、「コミュニケーションが苦手」というタイプのアスペルガー症候群の人は、他人との距離感がわからないということが原因といえます。
「この人は自分のことをわかってくれる」と感じた人には、出会ったばかりで信頼関係を築いていない相手にも馴れ馴れしく接したり、相手のコンプレックスをいじったりしてしまうため、仕事上でのトラブルに発展することもあります。
場の空気や話の流れを読む
アスペルガー症候群の人にとって、場の空気や話の流れを読むというのは得意ではありません。例えば急な予定が変更になり、仕事の進め方を変えなくてはならなくなった際などに、その時の状況を受け入れられないといった場合があります。
独自のルール(こだわりの強さ)
アスペルガー症候群には、自分の中で作られた独自のルールに従って行動する傾向があります。自身の中で生成されたルールにより行動がパターン化されているため、急な変更があった場合などに柔軟に対応することが難しいとされています。
性格により異なりますが、発達障害の人はそのこだわりから一連の作業を繰り返し行うルーティンワークのような仕事や研究職といった分野で活躍できる事があります。
社会性に対する障害
仕事が長続きしづらい
大人の発達障害の人には、入社後に教えられる多くの業務に混乱しパニックを起こし、ストレスも一気に溜まって疲れ果て、数日間で仕事を辞める・解雇されるケースが非常に多いとされています。
仕事の得意と不得意の差
興味や関心のあるものが極端なように、仕事の面でも得意・不得意の差が大きいとされています。向いている仕事に就いた際は驚異的な才能や集中力を発揮し、高い評価を得ることもあります。
マルチタスクがこなせない
アスペルガー症候群の特徴として、複数の作業(マルチタスク)を同時にこなすことが難しいとされています。
仕事における特性
記憶力に優れる
一般的に幼少期には反復して脳に刷りこむことで覚える「単純記憶」を得意としますが、成長にしたがってそれらが苦手となっていき、だんだんと、単語や物事をエピソードに結びつけて覚える「イメージ記憶」の方が得意になっていきます。しかし、アスペルガー症候群の人は、大人になっても単純記憶に優れているという傾向があります。
特定の事柄に強い興味を持つ
アスペルガー症候群の人は、特定の事柄に強い興味を持つ傾向があります。興味を持つ事柄に対する好奇心や探究心が人一倍強いため、自ずととことん追求し、深い知識を有するということも珍しくありません。その代わり、興味を持つ範囲は狭くなりがちなので、全体像をとらえることは苦手な傾向にあります。
集中力に優れる
アスペルガー症候群の人は、自分が興味を持つ事柄に対しては、他の人とは比べ物にならないほどの集中力を発揮して取り組む傾向にあります。
他の人なら音を上げてしまいたくなるような根気や緻密さを要する仕事にも、持ち前の集中力を発揮して最後まで取り組むため、仕事において大きな業績を成し遂げることがあります。
独特の想像力や感性を持つ
アスペルガー症候群の特性のなかに、感覚過敏・鈍麻があり、聴覚や視覚が敏感なために日常生活で困難が生じることがあります。
しかし、裏返せば「独特の想像力や感性を持っている」ということでもあります。アスペルガー症候群の人の中には、音楽や芸術、文学などの分野で独自の感性を発揮している人もいます。
アスペルガー症候群の方に向いている職種、得意な仕事
ここまでに述べた特性は、アスペルガー症候群の人すべてがもっているわけではありません。アスペルガー症候群の方がもつ特性は一人一人異なります。
また、実際に働く上では、職種だけでなく、職場での人間関係や仕事上のコミュニケーションの方法など、職場環境の違いによって仕事の働きやすさも変わってきます。
そのため、以下の職種・仕事はあくまで一例として参考にし、実際の仕事選びに際しては、具体的な職場環境や業務内容も踏まえて選択するようにしましょう。
- コンピューター・プログラマー
- ウェブデザイナー、ゲームデザイナー、CGアニメーター
- 広告デザイナー、工業デザイナー
- 建物や工場の設備整備
- エンジニア
- カメラマン、ジャーナリスト、校正者
- 翻訳者、通訳者
- 動物調教師、楽器の調律師
- 事務、書類管理
- 研究者、技術者、学者、アナリスト
職場において苦手とすること
アスペルガー症候群の人は、社会的障壁や特性のために、以下のようなことを苦手とするケースが多いようです。
- 言葉の裏にある相手の真意を読み取る
- お世辞を言う
- 予定の急な変更への臨機応変な対応
- 身だしなみに気を配る
- 集団行動をとる
- 複数の業務を同時進行させる
- 感覚の過敏性
アスペルガー症候群に向いてない職種、不得意な仕事
アスペルガー症候群の人が苦手とすることやその特性を踏まえると、アスペルガー症候群の方には不向きな仕事も存在します。
以下のような職種は、一般的にアスペルガー症候群の人には向いていないと考えられますが、あくまでも特性のあらわれ方は人それぞれ異なります。
以下のような職業についている方で、かつアスペルガー症候群である場合にも、その世界で活躍している人が存在している可能性はありますので、一例としてご参考ください。
- 接客業、営業職、受付係、電話オペレーター(柔軟な対人スキルが必要)
- レジ係(短時間で多くの処理をおこなう必要がある)
- 料理人、ウェイター・ウェイトレス(複数の注文を同時進行で処理する必要がある)
就職や転職をするためのおすすめの方法
アスペルガー症候群の人が社会で過ごす上で重要となるのが「相談する」ということです。
医療機関や支援機関で行われている「社会的技能」を身に着けるための訓練を受けることで、話し方・考え方といったコミュニケーション、聞き取り・書き取り、生活リズムの調整といった社会生活で必要なことを身に着けることができます。
支援機関には「発達障害者支援センター」や「就労移行支援事業所」の利用がおすすめです。
専門的な相談相手を持つことで、日常生活での困りごとへの対処法や、仕事で身に着けるべきスキルを様々な角度から学び、養うことで得意分野を活かした自分の在り方が見えてきます。
就労移行支援事業所チャレンジド・アソウでは、アスペルガー症候群の方の就職サポート実績はもちろんのこと、個別にカスタマイズしたトレーニング体制で、アスペルガー症候群の方に適した仕事探しをサポートしますので、まずはお気軽にご相談されることをおすすめします。