職場実習を通じて実際に働くイメージができました
Mさん(発達障害)
インタビューにご協力いただきありがとうございます。
まずはプロフィールを教えていただけますか?
私はMと申します。20代の男性です。
軽度発達障害(ADHD)、心臓疾患、そして脳梗塞があります。
現在は事務職の契約社員として働いています。
チャレンジド・アソウを利用する前はどのような状況でしたか?
障害者就業・生活支援センターに登録し、自分に必要なステップアップをする場所を探していました。
担当者の紹介で数か所の就労移行支援事業所を見学・体験しました。
その中のひとつがチャレンジド・アソウ大阪事業所で、3日間の体験利用を経て利用を決めました。
体験にいらしたときが懐かしいですね。
障害特性について教えていただけますか?
私の症状としては、脳梗塞による右半身麻痺とADHDがあります。
右半身麻痺は日常生活で特に困ることはありませんが、メモを取るときに右手でうまく字が書けないので、左手を使っています。
ADHDの特性としては、話す内容をまとめることが難しく、自分の言葉で伝えたことが相手にうまく伝わっているか不安になることがあります。
ただ事前に言葉を準備しておけば問題はありません。
自分の特性を理解し、対策を立てているので、周りの人からは症状が出ていないと言われることもあります。
チャレンジド・アソウでの訓練を通じて、実を結んでいると感じています。
チャレンジド・アソウでの訓練がお役に立ち、私たちも嬉しいです
障害の診断はいつ頃されたのですか?
ADHDの診断は中学生の時です。家族と病院に行き、主治医から「ADHDの特性がある」という話しがあったようです。
当時自分は同席していなかったので、実際に聞いたのは大学3年生から4年生の頃、就活を始める前に両親から伝えられました。
脳梗塞は2019年、心臓疾患は2018年に診断されました。
もしよろしければ、診断当初の気持ちをお教えいただけますか?
心臓疾患に関しては実感がなく、命の危機だと思っていませんでした。
急に告げられたので受け入れることができませんでしたし、現実を受け入れたくないという気持ちでした。
脳梗塞を起こし、右半身に力が入らず話せない状態になった時は非常に怖かったです。
自分ばかりがなぜ病気になるのかと、負の感情が湧きました。当時、気持ちをぶつける場がなかったので、気持ちがすさんでいました
ADHDのことを家族から聞いた時も、まさか自分が発達障害だとは思っていなかったです。
中学生の頃から両親に伝えられるまで、「こういう人なんだろうな」と自分で思っていたので、現実を受け入れるのが難しかったです。
お話しくださりありがとうございます。
チャレンジド・アソウを利用しようと思ったきっかけは何でしたか?
身体障害と発達障害の対策方法を見つけないと、仕事に就いた時に前職と同じような困りごとが出てくるだろうと考えました。
「対策を見つけられる場所はどこだろう」と就労移行支援事業所を探しました。
チャレンジド・アソウは事業所の雰囲気や利便性、通いやすさなどが良かったです。
「仕事に就くまで休まず通えそうだ」と思いましたし、職員の雰囲気も自分に合っていると感じたので利用を決めました。
またカリキュラムの内容も自分が希望していた対策方法が見つかりそうな座学が多く、それも魅力的でした。
利用中の感想や主な取り組みについて教えていただけますか?
利用してみての感想は、利用方法が決まっているわけではなく、自分の取り組みたいことに集中できる、自由度が高く自主性を尊重していただける環境だと感じました。
自分の課題に向き合える時間を持てましたし、体験時に感じた雰囲気どおりの事業所でした。
主に取り組んだことは、①自己理解を深めること、②右手の回復トレーニング(ペン習字)、③コミュニケーションワークです。
特に発達障害についての自己理解に力を入れました。
また実習に参加し、評価をいただいた課題に対する対策を考えたり、自己理解の冊子や発達障害についての本を読んだりしました。
あと就職活動の面接時に、自分のことを思うように説明できないことに気づき、伝える練習をしました。
自己理解に努めて、実際の仕事に活かす取り組みをされたんですね
チャレンジド・アソウの印象について教えていただけますか?
自分自身が自然体で事業所にいれたことが良かったです。カリキュラムに対してもリラックスして参加していました。
土曜カリキュラムのイベントは特に印象に残っています。
チャレンジド・アソウの卒業生を呼ぶための企画を考えたり、チラシ作成などみんなで準備をしたことが楽しかったです。
ビアピンポン、クリスマス会、歴史博物館に行ったりもしましたね。
文化祭みたいで楽しかったですよね。Mさんにとって自分らしく居られる場にもなれてよかったです。
では、現在の会社や職種で働きたいと思った理由を教えていただけますか?
職場実習をさせていただいたときに、実際に働くイメージができました。
「業務内容が明確で働きやすそう。イメージ通りに働ける!」と直感的に思いました。
一緒に働く職員の方々や職場の雰囲気も良い印象で、自分に合っていると感じ、「ここで働きたい」と思いました。
また実習の途中で社員の方から入職を勧めていただきました。それがとても嬉しかったです。
実習を通して、実際に働く環境が自分に合っていると感じたのも理由のひとつです。気さくな社員の方が多く、困りごとを伝えやすい環境だったので、ストレスを溜め込まずに長く働けると思い、応募しました。
職場実習でのMさんの評判は企業様からも本当に高かったです! 就職後の現在の仕事内容について教えてください。
現在の仕事は、主に日雇いアルバイトの対応、電話対応、個人情報のデータ入力、データ整理、他の社員の仕事を手伝うことです。
電話応対とメールのやり取りが大変です。
メールは文章を考えることが苦手なのと、電話は耳からの情報なので気を張らないといけないことがあります。また情報の確認に集中力が必要でミスが起きやすいです。
データ入力の数は時期によって違うので、ミスなく行うためには注意が必要で、それが疲れにつながることもあります。
さまざまな業務を任されているのですね。
工夫されていることや取り組んでいることはありますか?
長時間やっていると疲れが溜まってミスにつながりやすいので、切りがいいところで休むようにしています。
またこまめに相談をしています。
相談できるタイミングを見計らって、相手の状況を考慮してすぐに相談をするようにしています。
ご自身の特性理解がとても素晴らしく、対策もバッチリですね。
最後に、今後の展望や目標について教えてください。
自分にあった職場・環境なので、長く働き続けることが目標です。
そのために体調管理等をしっかりと注意して生活していきたいと思います。
素晴らしい目標ですね。インタビューにご協力いただきありがとうございました!
最後に、企業からのコメントやスタッフからのコメントをご紹介します。
企業からのコメント
チャレンジド・アソウの訓練や実習での成果が発揮されていると日々の様子から感じています。
業務では現在、エクセルやワードを使っての作業や、メール・電話応対をしてくれています。
最初は電話を取ることに対して不安もあり、苦手に感じられました。
入職後3ヶ月が経ち、今では必要なことだけメモを取り、わからないことがあれば電話先の相手に聞き返す余裕が持てています。
また私や他の社員が不在の際は、電話があったことをメモし、口頭でも説明をしてくれています。
メモと口頭の説明があっているかも確認し、丁寧に伝えてくれます。
仕事の内容を1つ1つ確認しながら行い、わからないところは明確に伝えてくれます。これからもご自身のペースで仕事を覚えていただき、慣れていってほしいと思っています。
今後の期待としては、1年後には1人立ちをし、部署内で中心となる人物になっていただきたいと思います。
スタッフからのコメント
利用開始当初は「何をやったらいいのかな?どんな人がいるんだろう?」と、周囲を伺っているような素振りが見られました。
雑談や日常会話を通して、環境や通所すること自体に慣れていかれた印象です。
目標面談でご自身の課題や取り組み内容が認識できると、トレーニングにぐっと集中され、その中で見えてきた課題に対する工夫や自己努力は目を見張るものがありました。
当初、希望職種を決めていた訳ではなく、作業系、事務系と幅広く職場実習をされました。障害の有無を超えて、豊かな社会経験の中で成長されたと感じています。
雇用前実習を経て就職を決められた際には「やるべきことが見えている状態が自分の安心に繋がります。安心して確認していける環境に感謝しながら正確な仕事をしていきたい」と、ご自身の誠実な思いを伝えておられました。
初心を大切にひとつひとつスキルと信頼を積み重ねて、長く働き続けることを豊かな人生へと繋げてほしいと思います。
今後も定着支援を通して、精一杯サポートさせていただきます。