障害者の方の就労移行支援
てんかんに向いてる仕事の種類と就職・転職におすすめの就労移行支援事業所

てんかんに向いてる仕事の種類と就職・転職におすすめの就労移行支援事業所

「てんかん」の方に限らず、障害をもっている方の仕事選びは非常に大切です。自分にあった適職を見つけられるかどうかによって、就職したあとも継続して働けるかどうかが変わってきます。

しかし、どの仕事が「てんかん」に向いてるのか、または向いてないのか、と言う判断は自分だけで判断するには難しいでしょう。さらに、「てんかん」と一口に言っても、実際には発作の表れ方や症状によって特徴も異なるため、適職を見つけるのは本当に難しいものです。

そこで、このページでは、「てんかん」にまつわる障害の特徴や症状の分類をするとともに仕事探しや就労継続をサポートする目的で制定された就労移行支援制度と実際のサポートを行ってくれる就労移行支援事業所をご紹介します。

「てんかん」を持つあなたの仕事選びの参考になるかと思いますので、ぜひ、実際に働くイメージをしながらてんかんについて、また就労移行支援について知っていただければ幸いです。

チャレンジド・アソウ 広島事業所 /
チャレンジド・アソウ 大阪事業所 /
チャレンジド・アソウ 新大阪事業所 管理者
サービス管理責任者

監修:池田 倫太郎

株式会社チャレンジド・アソウ
立ち上げの中心メンバー。
就労移行支援事業、就労定着支援事業、
特例子会社の運営を行う。

てんかん発作の種類と症状

「てんかん」とは、てんかん発作を繰り返す脳の慢性疾患のことを指し、日本では100人に1人が持っていると推計されています。

てんかん発作は、脳の興奮系の神経と抑制系の神経のバランスが崩れ、一方の神経だけが過剰に働いたり、大量の信号を一斉に出したりしてしまうことにより、脳の活動が乱れ、体も正常に動かなくなってしまう状態です。

てんかんは、発作の現れ方とその時の脳の状態などによって分類され、それぞれに症状の違いや特徴があります。

てんかん発作の具体的症状

てんかん発作というと、突然意識を失って倒れるというイメージを抱きがちですが、実際にはそれだけではありません。

なかには発作がごく短時間なために、気付かれないものもあります。

①部分発作(焦点発作)

電気的興奮が脳の一部分から始まる発作です。3つに分かれ、症状も異なります。

種類 具体的症状 意識状態
単純部分発作
  • 手足や顔のつっぱり、ねじれ、痙攣
  • 目がピカピカする、チカチカする、音が響く、耳がカンカンする、聞こえなくなる
  • 頭痛や吐き気

など

意識あり
複雑部分発作
  • 急に動作が止まる、ふらふらする
  • 無意味に手を叩く、口を動かす
  • 顔つきがぼーっとする

など

意識障害
記憶障害
二次性全般化
発作
  • 脳の電気的興奮が部分から全体に広がり、全般発作に発展する
意識なし

部分発作は始まる時には意識があるため、発作の始まりを自覚できるのが特徴です。

②全般発作

部分発作の発信源が脳の一部であるのに対し、全般発作では脳全体が興奮状態になり、本人は意識を失っています。症状によって分類があります。

種類 具体的症状
強直間大発作
  • 突然意識を失い、呼吸が止まる
  • 手足を伸ばし全身が固くなる、あるいは手足をガクガク曲げたり伸ばしたりする
  • 発作後は眠ることもある
脱力発作
  • 崩れるように倒れる
  • 数秒以内のごく短い発作
欠伸発作
  • 体の大きな動きはないが、数十秒間意識を失う
ミオクロニー発作
  • 全身あるいは一部分の筋肉がビクつく

てんかんの方が就職や仕事探しをするときの注意点

てんかんがある人が就職や仕事をするときには、まず発作への対応や、日常生活を自分で管理できることが絶対条件です。

また、自分の症状にあった仕事を選ぶ必要があります。

てんかんの方は運転免許が必要な仕事は避ける

2014年から施行されている新しい道路交通法では、てんかんの人が運転免許を取得・更新するための条件が加わりました。具体的には、

  1. 報告義務。過去や現在の症状などについての質問票に答えること。虚偽申告には罰則あり。
  2. 一定の症状があると警察が疑った場合には、免許の効力を一時停止し、臨時適性検査などを行う。
  3. 病気が原因で免許を取り消されたが、その後3年未満に治療などにより運転免許の取得が可能になった場合には、学科や実技の試験なしで運転免許を再取得できる。
  4. 発作による事故の危険性を知りながらも忠告を守らず、意図的に運転を続けた場合は、医師が警察に申告できる。

というものです。

てんかんを持つのであれば免許の取得や更新の際には必ず医師に相談しましょう。

また、自動車の運転にあたって義務付けられる自賠責保険については、てんかんなどの疾患や病気がある場合の条件を設定している保険会社もあります。

その他にも、てんかん発作が起こった時のことを考えて、ミスの許されない仕事や命に関わるような仕事は制限するのがおすすめです。

てんかんに向いてる仕事・働きやすい職業例

先にも述べたように、てんかんの症状は人それぞれです。

そのため、仕事を探す前に、まずは自分の症状について、どのようなときに発作が起きるのか、発作が起きると仕事や周囲にどのような影響が出るか、などを細かく分析した上で仕事を決めなければなりません

もちろんてんかんを持っていても職業選択の自由がありますが、自分に合った職業でないと長く続けることは困難です。

例えば、てんかんの方に向いてる仕事・働きやすい職業としては以下のようなものが挙げられます。

  • デザイナーやライターなど自分のペースで柔軟に働ける仕事
  • 病気への理解がある介護職などの仕事

このように、いくつか「てんかん」の方に向いている仕事や働きやすい職業はありますが、あくまでも一例ですので、すべての「てんかん」の方に上記の仕事が当てはまるとは限りませんし、もっと適した仕事が見つかる可能性もあります。

実は病気について知識のある人と、働き方について相談したり、実際に職業生活を体験したりできる場所があります。そこで、次の項目で、仕事探しや就職・転職活動において「てんかん」の方が適職を見つけるのにおすすめの方法をご紹介します。

就職・転職活動で適職を見つけるのにおすすめの方法とは就労移行支援事業所に通うこと

「てんかん」の方が就職や転職、再就職をするときには就労移行支援事業所を利用するのがおすすめです。

就労移行支援事業所とは就労移行支援制度の制定に基づき、各地方自治体にある病気や障害、てんかんのような疾患を持つ方の就職や就労の継続をサポートする事業所のこと。

就労移行支援事業所は基本利用料が無料で就職に必要なスキル訓練などを受けることができ、就職が成功した後も継続して仕事が続けていけるようにサポートをしてくれます。

その就労移行支援事業所の元になった就労移行支援制度についてまずは見ていきましょう。

就労移行支援とは

就労移行支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつ。就労移行支援では、一般企業への就労を目指す、障害や難病のある休職中、離職中の方が利用できます。

「てんかん」の方を支援の対象としている就労移行支援事業所もあるので、就労移行支援を利用した就職は「てんかん」の方におすすめと言えます。

そして、このサービスを提供する事業所のことを就労移行支援事業所と言います。

障害があって一般就労したいけど就職が決まらない方、履歴書の作成や面接、コミュニケーション等が苦手な方、これまで仕事が長続きせずキャリアが作れない方など、就職に困っている方の就職から定着までをサポートしてくれるのが就労移行支援事業所です。

就労移行支援と同じ障害福祉サービス(自立支援給付)には、就労継続A型事業所(雇用型)と就労継続B型事業所(非雇用型)がありますが、就労移行支援事業所では、「2年間」という利用期間の中で、一般企業に就職し、就職したその後も就労継続することを目指して支援するのが特徴です。

就労移行支援サービスの具体的な内容

それでは実際に就労移行支援事業所ではどのようなサポートが行われているのでしょうか。てんかんを持つ方にも安心して利用していただけるので詳しく見ていきましょう。

就職を目指すためのトレーニング

「てんかん」を持つ方などが就職して働き続けるために必要なスキルをトレーニングで習得し、自己理解や仕事への理解を深め、実際に職場での実習を経て、自分のやりたい仕事、できる仕事を厳選し、適職を見つけていきます。

就職活動の支援

就職活動をする段階に入ったら、就労移行支援事業所の社員が、履歴書・職務経歴書の添削や、求人票のチェック、面接同行等を一緒にやってくれます。

就職が決まるまでの間ずっと、社員が相談に乗ってくれるため、「てんかん」の方も安心して就職活動をすることができるでしょう。

直接就労移行支援事業所が仕事を斡旋するのではなく実際の求人を紹介してくれるのはハローワークなどになりますが、その際も就労移行支援事業所のスタッフがうまく間に入ってくれます。

働き続けるための就職後の定着支援

就職が決まっても就労移行支援事業所の支援は続きます。就労移行支援では、「てんかん」の方が就職後もその仕事を続けていけるように仕事への定着をサポートしてくれます。

定着支援では、就労移行支援事業所のスタッフが、「てんかん」の方が実際に職場で経験したことや仕事で困っていること等の相談に応じたり、時には企業と相談したりしてくれるため一人で悩むことなく、早く職場に適応することができるでしょう。

就労移行支援
目的 就職するために必要なスキルを身につける
対象者 一般企業へ就職することを希望する方
雇用契約 なし
賃金 一部事業所を除きなし
年齢制限 65歳未満
利用期間 原則2年

就労移行支援と就労継続支援との違い

就労移行支援と似たような支援制度に就労継続支援というサービスがあります。

就労継続支援は、就労移行支援で一般企業への就職を目指したものの就職できなかった障害者を対象に仕事の機会を与え社会復帰をサポートする仕組みです。

就労継続支援には、A型とB型の2種類があり、大きな違いは雇用契約を結べる仕事ができるかどうかの違いとなります。

また、就労継続支援の場合は就労継続支援と違い、工賃がA型・B型の両方で支給されるのが特徴です。

就労継続支援 A型 B型
対象者 一般企業への就職が困難・不安な方
雇用契約 あり なし
平均月収※ 70,720円 15,295円
対象年齢 65歳未満 制限なし
利用期間の制限 なし なし

厚生労働省による障害者の就労移行支援対策の状況を参考(平成28年度)

就労移行支援事業所はこういった方におすすめ

上記のようなサポートが受けられるのでてんかんを患っている方も不安に思うことなく就労移行支援事業所を通うことをおすすめします。

よくてんかんを患っている方が就職にや就労に対して心理的障害となっている点をあげてみると

  • 職場復帰後に毎日通勤できるのかが不安
  • 長時間仕事をしていないので体力に不安がある
  • ストレスを受けた際に感情コントロールができるのか
  • コミュニケーションが上手く取れるのか

こういった悩みは就労移行支援事業所のスタッフと相談して解決していくことが十分可能です。

実際に就労移行支援事業所に通い一般企業や会社に正社員として就職できた方はたくさんいらっしゃいます。

また就職後も通院のために早退や遅刻、休む必要がある時など言いづらいことも会社とあなたの間に入ってコミュニケーションをうまく取れるように尽力してくれるでしょう。

てんかんを持っている方は周りの理解も必要となるので、ひたすら隠していくのではなく就職する際に会社にも理解をしてもらってから働き出すのが成功の鍵です。

しかし、その後トラブルにならず周りの方に信頼してもらうには最低限の職業スキルや精神・感情のコントロールを身につけておくことも重要。それらを就労移行支援事業所で学ぶと良いでしょう。

一人や家族単位で悩むのではなく一度就労移行支援事業所に問い合わせて試してみると良いでしょう。

チャレンジド・アソウの就労支援の特徴

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