直腸機能障害は便の排泄機能に障害を持つ疾患で、内部障害の一種に分類されています。
内部障害の方は外見から症状を判断することが難しいため、就職活動の際は就労移行支援などを活用して理解のある会社を探すのがおすすめです。
この記事では、直腸機能障害を抱える方が職場を選ぶときのポイントや、主な就労移行支援サービスについて解説していきます。
直腸機能障害の症状・治療法などを解説
まずは、直腸機能障害やその他の内部障害の特徴と、主な病名・治療方法などを詳しく見ていきましょう。
内部障害の分類
内部障害に分類される疾患は以下の7種類です。
障害名 | 特徴 | 主な病名 |
---|---|---|
心臓機能障害 | 心臓から全身に血液を送り出すための機能が低下する障害 | 不整脈・狭心症・心筋梗塞など |
呼吸器機能障害 | 肺機能の低下により酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる障害 | 慢性気管支炎・肺気腫など |
腎臓障害 | 腎臓の働きが低下し、老廃物や水分の排出ができなくなる障害 | 慢性腎不全・糖尿病性腎症など |
膀胱・直腸機能障害 | 膀胱・直腸の機能低下により、排泄機能が妨げられる障害 | 過活動膀胱・神経因性膀胱・尿失禁など |
小腸機能障害 | 小腸の機能が低下し、消化吸収がうまくできなくなる障害 | 小腸間膜血管閉塞症・小腸軸捻転症など |
肝臓機能障害 | 肝臓機能の低下により、倦怠感・黄疸・吐血などが生じやすくなる障害 | 肝炎・肝不全など |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV) | 白血球の一種であるリンパ球の破壊によって免疫機能が低下する障害 | エイズるい痩・真菌感染症など |
内部障害は、いずれも「一見すると障害があるように見えない」という特徴があります。
実際に、内部障害を持つ方の約9割は食事や着替えといった日常生活を1人で行うことができ、また掃除や洗濯といった家事についても約8割の方が1人でできると言われています。
そのため、一般の方よりも疲れやすい・ストレスを感じやすいといった症状があるにも関わらず、あまり周囲から理解を得られないのが内部障害の難しいところです。
直腸機能障害の原因
直腸機能障害は、便の貯蔵・排泄調整の機能を持つ直腸に障害をきたす疾患の総称です。
蓄尿・排尿機能を持つ膀胱の障害と併発するケースが多いため、膀胱・直腸機能障害と呼ばれることもあります。
直腸機能障害の原因は、主に直腸や大腸の摘出手術によるものが多いとされます。
また事故による脊髄損傷や椎間板ヘルニアが原因となるケースもあり、老若男女に発症する可能性がある障害です。
直腸機能障害は症状の度合いによって1級・3級・4級の3種類に分けられており、判断基準は以下の通りです。
直腸機能障害1級 | 起床しての生活ができず、便の排泄の制御ができない状態。 |
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直腸機能障害3級 | 起床したの生活は行えるものの、便の排泄の制御ができない状態であり、オムツの着用が必要となる。 |
直腸機能障害4級 | 人工肛門の対象者であり、これらの操作に関して十分な理解があれば、能力的な障害はない状態。ただし、人工肛門が破損しないような最低限の配慮が必要となる。 |
直腸機能障害の主な治療方法
直腸機能障害・膀胱機能障害の治療法としては、状態に応じて以下の3つが考えられます。
保存的治療(リハビリ) | 排尿排便を我慢するために、骨盤底筋・膀胱・肛門括約筋などの筋力を強くする |
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薬物治療 | 排泄・蓄積機能を改善するための薬剤を服用する |
手術 | 原因となる疾患の手術・人口尿道を埋め込む手術・神経に電気刺激を与える手術など |
この他、直腸機能障害の方は排泄コントロールを目的として下剤を服用したり、オムツを着用したりすることがあるため、これらに伴う精神的負担に対してもケアが必要です。
直腸機能障害の方が就職活動を行ううえでのポイント
直腸機能障害のような内部障害を抱える方が就職活動を行う際は、職場の環境や直腸機能障害に対する理解度をしっかりと確認する必要があります。
続いて、直腸機能障害の方にとって働きやすい職場のポイントについて詳しく見ていきましょう。
職場の医療環境が整っているかどうか
直腸機能障害の方にとって、職場の医療環境が整っていることは非常に重要なポイントです。
就職活動を行う際は、以下のようなポイントをチェックするようにしましょう。
- 会社の中に休養室や健康管理室が設けられているか
- 血圧計・AEDといった基本的な医療機器が設置されているか
- 産業医(医学に関する専門的な立場から、職場の労働者の健康管理を行う医師)が在籍しているか
これらがきちんと整備されている環境であれば、勤務中に体調不良を感じた場合でも速やかに対応できるため、安心して働くことができます。
勤務時間・仕事内容への配慮を受けられるかどうか
直腸機能障害の方が長期的に仕事を継続していくためには、適切な体調管理も欠かせません。
ラッシュ時の通勤や長時間の拘束は身体的・精神的に大きな負担となるため、フレックスタイム制や時短勤務を導入している企業を選ぶと良いでしょう。
また、直腸機能障害の方は仕事内容についても配慮が必要となります。
人工肛門を使用している場合は、重い荷物を持ったり、締め付けのある制服を着用したりすることで破損につながる可能性があるからです。
こういった作業を回避できる、または分担できる体制が整っていることを面接時などに確認するようにしましょう。
内部障害の方が利用できる就労移行支援事業所とは?
直腸機能障害などの内部障害を抱える方のための就職支援サービスとして、「就労移行支援事業所」というものがあります。
ここからは、就労移行支援事業所のサービス内容と、おすすめの就労移行支援事業所について紹介していきます。
就労移行支援事業所の特徴
就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障碍者の方のサポートを行う通所型の福祉サービスです。
就労移行支援事業所は障害者手帳を持っていない場合でも利用できるケースが多く、原則2年間の通所に加え、原則6ヶ月の定着支援なども受けることができます。
就労移行支援事業所の主なサービス内容は以下の通りです。
就職を目指すためのトレーニング | 就職時に必要となるスキル・ビジネスマナーなどを習得するためのカリキュラムに取り組みます。またこれらのトレーニングを通して障害に対する理解や職業理解を深め、自分のやりたい仕事・できる仕事を見つけるサポートを行います。 |
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就職活動支援 | 履歴書・職務経歴書の添削や、求人票のチェックなどを行います。また面接へ同行したり、就職に関する相談に乗ったりすることも可能です。 |
就職後の定着支援 | 就職先の職場で起こったことや悩んでいることに対する相談に応じます。内容によっては、直接企業側と相談を行うこともあります。 |
おすすめ就労移行支援サービス「チャレンジド・アソウ」
当メディアを運営する「チャレンジド・アソウ」も、就労移行支援事業所の1つです。
福岡・広島・大阪に就労移行支援のための事業所があり、様々な企業と連携しながら幅広いカリキュラムの提供を行っています。
他の就労移行支援事業所と比較した場合の、チャレンジド・アソウの強みは以下の通りです。
- いずれの事業所も最寄り駅から徒歩10分圏内にあり通いやすい
- 週1日から通所することができる
- 1人1人に合わせたオリジナルの就職プランを提案
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これらの徹底した支援により、チャレンジド・アソウからの一般企業就職率は85.7%、また就職後の定着率は90%という高い実績を出しています。
すでに就労移行支援事業所への通所をお考えの方、また障害があることで就職活動に困難を感じている方は、ぜひ一度就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」へお問い合わせください。
その他の就労移行支援サービス
直腸機能障害の方が利用できる就労移行支援サービスはその他にもいくつかあります。
最後に、ハローワークなど就労移行支援事業所以外の就職支援機関について、特徴や違いを紹介していきます。
ハローワーク
ハローワーク(職業安定所)といえば、一般の方が就職活動を行うための施設と思われがちです。
しかし実際は、障害者向けの窓口が設けられていたり、障害者枠の求職情報をチェックできたりと、直腸機能障害を持つ方のためのサービスも充実しています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障害のある方への専門的な職業リハビリテーションを提供する機関です。
障害者職業カウンセラーやジョブコーチといった専門職員が在籍しており、全国の都道府県に最低1か所以上設置されています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害を持つ方の仕事と生活の双方をサポートするための機関です。
安定した仕事と生活の自立を目指し、雇用・保険・福祉・教育といった各機関と連携しながら、様々な支援や指導を行っています。
まとめ
- 直腸機能障害は、便の貯蔵・排泄機能に障害をきたす内部障害の1つ
- 人工肛門を使用しているケースが多いため、負担をかけて破損させることがないよう、勤務時間や仕事内容の調整が必要
- 就労移行支援サービスを活用することで、障害に理解のある会社への就職をスムーズに行える
就労移行支援サービスは、様々な障害を持つ方にとって強い味方となってくれます。
就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」でも就職サポートや定着支援などを幅広く実施しているので、就職への不安を抱えている方は一度ご相談ください。