身障者の方にとって、就職して社会で働くというのが難しいと考えるかもしれません。1人1人障害の箇所も異なれば程度も違うので、適したサポートを受けるのが難しいと考えるでしょう。
ですが、就労移行支援という制度を利用すると、身障者の方はもちろんいかなる障害をお持ちの方でも、世に出て就労したいという気持ちがある方を手厚くサポートしてくれます。
1人1人の障害に合わせた就労移行支援プログラムを作って取り組めます。
身障者の方で、今後自立して仕事ができるように就職したいという方はこのページを読んで就労移行支援の利用を検討されることをおすすめいたします。
就労移行支援事業所の行うサービスとは?
そもそも、「就労移行支援事業」というのは「障害者総合支援法」に基づく就労支援サービスの一つを指します。
就労移行支援では、身障者の方をはじめ障害を持つ方が一般企業へ就労を目指す際に必要となる知識やスキルを身に付けられるようサポートを行います。
そして、そういった就労移行支援を事業として行っている会社のことを「就労移行支援事業所」といいます。
就労移行支援事業所は障害のある方の就職をサポートしている、通所型の福祉サービスのことです。
現在、就労移行支援事業所は、地方自治体から指定を受けてサービスを提供しており、2017年の時点で全国3,398カ所、利用者は33,493人となっています。
※2017年に厚生労働省が発表した「就労移行支援に係る報酬について≪論点等≫」より
この就労移行支援の利用者の内訳を障害者種別で見ると、身障者と知的障害者の利用割合は減少傾向となっている一方で、精神障害者の利用割合は、全利用者の5割以上を占めており、年々増加傾向にあります。
就労移行支援サービスの対象者
就労移行支援サービスを受けたいと考えて誰もが利用できるわけではありません。
国によって、就労移行支援を利用して就職を目指す障害者の方に対して利用可能な対象者を設けています。
現在、就労移行支援事業所を利用可能な対象と対象年齢、サービスの利用期間は下記の通りです。
対象者 | 精神障害や発達障害・知的障害・身体障害等の障害をお持ちの方や、難病をお持ちの方 |
対象年齢 | (原則18歳以上)65歳未満 |
利用できる期間 | 最長2年間の支援を受けることが可能 (「継続してサポートが必要」と認可された場合には、最大1年間延長の場合もある) |
身障者の方の利用料金について
就労移行支援を利用して将来就職したいと考える身障者の方の中には、この就労移行支援の料金が気になる方もいらっしゃると思います。
就労移行支援サービスの利用料金は就労移行支援の利用料金は基本的に税金で賄われていきます。ただし、一部の方は自己負担が必要となっており、その区分は前年度の世帯所得に応じます。
ここでいう世帯収入とは本人と配偶者の金額の合計であり、ご両親の収入は換算されません。
世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(※1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者を除きます(※3)。 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(※1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(※2)収入が概ね600万以下の世帯が対象になります。
(※3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」となります。
※その他条件によって減免があるので、各行政に確認してください。
工賃や交通費はもらえるのか
就労移行支援サービスを受けている中で、日々通所で必要となる交通費が就労移行支援の一貫でもらえるのか、また、訓練の一部で実施される労働を行った際に工賃は発生するのかについて確認していきます。
まず、交通費ですが、原則として「自己負担」になります。
就労移行支援はあくまでも身障者の方をはじめとした障害を持つ方が、就職を経て一般企業の職場に定着してくれることを目的とした福祉サービスです。
身障者や障害を持っている方のスキルやマナーを訓練してくれるところであり、交通費が出ることはありません。
ただし、ここ最近では一部の自治体や就労移行支援事業所によって交通費の一部を給付したり、助成金を出しているところもあるようです。
詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。
続いて、「工賃」ですが、こちらも原則出ません。
就労移行支援の中で行われる労働は身障者の方が就職していくために必要なスキルを養っている状態であり、通常の労働のように賃金が発生することはありません。
ここでの実践的な労働が将来の就業に役立つことになり、身障者の方に適性な職業、職場に合わせた労働訓練を行えます。
身障者の就労移行支援の期間と流れ
先ほどの記載した通り、基本的に就労移行支援の利用可能期間は、原則最長2年の期間です。
2年を超えて利用するには、就労移行支援をご利用の市区町村に申請し、認定調査を受け、審査を経た後に継続の必要性が認められた場合に限ります。
就労移行支援事業所の再利用
就労移行支援の上限利用期間である2年間以内であれば、以前に就労移行支援事業所を利用していても再度残りの期間、就労移行支援事業所を利用ことが可能です。
ただし、お住まいの市区町村によっては、一度利用した就労移行支援サービスの再利用を不可能としている場合もあるのでご注意ください。
身障者も安心な就職支援
就労移行支援サービスで身障者の方をはじめとした障害がある方の就職に向けたサポートを受けていき、この2年間の中で就職の準備が出来たら就職活動を実施することになります。
もちろん、就職活動も就労移行支援のサポート範囲ですので、就労移行支援事業所の担当職員とともに取り組めます。
身障者の方に履歴書など書類の作成から、面接練習をはじめ、身障者の方にぴったりの人材募集をしている企業を紹介したりハローワークと連携してたくさんの求人を持ってきたりと、非常に心強いサポートをしてくれます。
そして、就労移行支援の頼もしいところは就職活動までなく、就職後も継続してサポートをしてくれることです。
就職先の企業と身障者の方の間に入って、仲介役としてお互いが働きやすいように働きかけてくれます。
また、就労移行支援事業所の職員が定期的な面談を実施してくれますので、就職先での仕事の悩みやキャリアの相談、人間関係の相談といったことから、私生活の相談まで、様々な種類の悩みを聞いて一緒に解決方法を考えてくれます。
まとめ
身障者の方にとって、自分ができる仕事、就職できる会社を見つけることは難しいと考えていらっしゃるかもしれません。
このページで紹介したように、就労移行支援事業所にいる職員の方は障害のある方1人1人の適性な就職先を紹介するプロです。
障害の程度や本人の性格、職種の適性を見抜いて最も適した採用を実施する企業を見つけてくれます。
身障者の方も、一般企業に就職して活躍される方がたくさんいらっしゃいますので、少しでも就労移行支援について気になった方はお問い合わせをしてみてください。