骨形成不全症とは、骨がもろくなることで、骨折しやすくなったり骨が変形したりしてしまう難病のことです。
この記事では、骨形成不全症の概要と治療方法、日常生活の中で注意すべきポイントなどを解説していきます。
また、骨形成不全症などの難病・障害を持つ方が利用できる「就労移行支援サービス」についてもまとめているので、難病や障害によって就職活動に困難を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
チャレンジド・アソウ博多事業所
就労支援員 精神保健福祉士
監修:山本 慎也
15年に渡りテレマーケティング会社等にて
人材育成・マネジメント業務に従事。
行政コールセンターの構築にて福祉に
触れたことがきっかけとなり現職に至る。
骨形成不全症とはどんな病気?
まずは、骨形成不全症がどういった病気なのか、主な症状と治療方法について解説していきます。
また合わせて、骨形成不全症を抱える方が日常生活を送ったり仕事をしたりする中で注意すべきポイントも見ていきましょう。
骨形成不全症の原因と主な症状
骨形成不全症を患う方の約90%は、I型コラーゲンの遺伝子変異(COL1A1・COL1A2)によって、質的または量的な異常が起こることが発症の原因とされています。
I型コラーゲン遺伝子に異常がない患者についても、その他の遺伝子(FKBP10・LEPRE1・CRTAP・PPIB・SERPINH1・SERPINF1・BMP1)に異常が発見されています。
骨形成不全症の症状は様々で、主な症状としては以下の通りです。
- 易骨折性(骨が弱く折れやすいこと)
- 骨変形(脊椎骨の変形)
- 成長障害
- 青色強膜
- 歯牙(象牙質)形成不全
- 難聴
- 間接皮膚の過伸展
- 心臓弁の異常による心不全 など
中には生まれてすぐ死亡してしまう周産期致死型や、明確な症状が出ずに偶然発見されるケースもあるようです。
また骨が弱いため運動発達に遅延が見られたり、妊娠・出産や加齢に伴って状態が悪化したりする場合があるため、基本的には生涯にわたって治療・管理が必要となります。
骨形成不全症の治療方法
骨形成不全症の治療方法は、内科的治療と外科的治療の大きく2種類があります。
なおどちらも骨形成不全症の症状を予防・緩和させるための治療であり、根本的な治療方法は現時点では確立されていません。
内科的治療
骨折のリスクが高い患者に対し、骨折頻度の減少を目的として「ビスフォスフォネート製剤」を投与する治療方法です。
ビスフォスフォネート製剤は、骨折頻度の減少だけでなく、骨密度の増加・骨痛の改善・脊体の圧迫骨折の改善といった効果も得られるようです。
外科的治療
外科的治療としては、骨折した際に行う観血的骨整復術、四肢変形に対する骨切り術、長管骨の骨折・変形予防を目的とした髄内釘挿入、脊柱変形に対する矯正固定手術などが行われます。
この他、歯牙(象牙質)形成不全および咬合異常に対する歯科的な管理、難聴に対する内科的・外科的治療などもあります。
日常生活や仕事の中で注意すべきポイント
骨形成不全症を抱えている方は、一般の方と比較して骨折するリスクが高いため、コンタクトスポーツ(競技者間で接触のある競技)を行わないことが推奨されます。
また仕事においては、基本的に一般就労も可能と考えられますが、重たい荷物を持ち運んだり、走る・跳ねるなどの動きを伴ったりする業務は控えた方が良いでしょう。
気付かないうちに起こってしまった骨折が原因で骨痛を生じる場合もあるので、痛みを感じた場合は速やかに医師へ相談することが大切です。
骨形成不全症などの難病・障害を持つ方が利用できる【就労移行支援】とは
骨形成不全症をはじめ、難病や障害を抱えていることで就職・転職活動に困難を感じている方は、就労移行支援サービスの活用がおすすめです。
ここからは、骨形成不全症の方が利用できる就労移行支援の概要と、その他の就職支援との違いなどについて詳しく見ていきましょう。
就労移行支援サービスの対象者・通所期間・手続き方法
就労移行支援サービスとは、「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付の1つとして用意されている福祉サービスです。
骨形成不全症などの難病・障害を抱えている方で、一般企業への就職を目指している方をサポ-トするための制度で、全国に3,400か所以上の就労移行支援事業所があります。
就労移行支援サービスは、以下の要件を満たす方が利用対象となります。
- 18歳以上65歳未満の方
- 身体障害・発達障害・知的障害・精神障害・指定難病のある方(※医師の診断書・通院証明書があれば障害者手帳を持っていなくても利用可能となるケースがあります)
- 一般企業への就労または開業を希望する方で、就労が可能と見込まれる方
骨形成不全症は指定難病に含まれているため、就労移行支援サービスの利用が可能です。
骨形成不全症の他、対象疾病の一覧はコチラ(https://www.mhlw.go.jp/content/000523362.pdf)から確認することができます。
就労移行支援サービスの通所期間は原則2年間で、状況によっては1年間の延長が認められるケースもあります。
また就職後の定着支援として最大6か月間の通所が可能です。
就労移行支援サービスを利用するために必要な手続きの流れは以下の通り。
- 各市区町村の自治体にある福祉担当窓口へ相談
- 訓練等給付費支給申請書を窓口に提出
- 自治体の職員によるヒアリング・認定調査
- 就労移行支援事業所の利用計画案を作成
- 就労移行支援事業所の利用に必要な受給者証の交付
- 就労移行支援事業所と利用契約を締結
就労移行支援サービスの利用料金は世帯収入によって0円~32,000円と異なりますが、実際に就労移行支援サービスを利用している方の9割は0円で通所しています。
その他の就職支援サービスとの違い
骨形成不全症などの難病・障害を抱える方が利用できる就職支援には、就労移行支援サービスの他に以下のようなものがあります。
ハローワーク | 厚生労働省が管轄する公的な機関。障害者の方向けの求人紹介を行う窓口が設けられており、一般枠・障害者枠双方の求人をチェックできる。 |
地域障害者職業センター | 障害者の方に対するリハビリテーションを提供する施設。希望する職種に合わせた作業のレクチャーなどを受けられる。 |
障害者就業・生活支援センター | 障害者の方に対する就業支援・指導を行う施設。就業面における支援の他、健康管理・金銭管理など生活全般に関するアドバイスを受けられる。 |
ハローワークは求人紹介、地域障害者職業センターはリハビリテーションと、基本的には何らかの支援に特化した機関となっています。
一方、就労移行支援サービスでは、仕事で必要となるスキルの習得・履歴書の添削・面接への同行といった就職活動のサポート、また就職後の面談まで、就職に関する一連の支援を行っているのが特徴です。
就労移行支援事業所によっては職場見学や体験ができるケースもあるので、一般企業への就職をお考えの方は一度通所を検討してみてはいかがでしょうか。
就労移行支援事業所で受けられる主なサポート内容
就労移行支援事業所では、主に以下のようなサポ-トを受けることができます。
就職を目指すためのトレーニング | 就職時に必要となるスキル・ビジネスマナーなどを習得するためのカリキュラムに取り組みます。またこれらのトレーニングを通して障害に対する理解や職業理解を深め、自分のやりたい仕事・できる仕事を見つけるサポートを行います。 |
就職活動支援 | 履歴書・職務経歴書の添削や、求人票のチェックなどを行います。また面接へ同行したり、就職に関する相談に乗ったりすることも可能です。 |
就職後の定着支援 | 就職先の職場で起こったことや悩んでいることに対する相談に応じます。内容によっては、直接企業側と相談を行うこともあります。 |
当メディアを運営する「チャレンジド・アソウ」もこれらのサポ-トを提供する就労移行支援事業所の1つです。
チャレンジド・アソウは福岡・広島・大阪に事業所があり、いずれも最寄り駅から徒歩10分圏内というアクセスの良さが特徴。
また連携企業への職場見学や体験といったプログラムも用意しており、1人1人の悩み・要望に合わせた就職プランの設計が可能です。
チャレンジド・アソウは一般企業への就職率85.7%、就職後の定着率は90%と十分な実績のある就労移行支援事業所となっています。
骨形成不全症を抱える方で、一般企業への就職を目指している方は、ぜひ一度チャレンジド・アソウをはじめとする就労移行支援事業所へご相談ください。
難病・障害患者のための就労移行支援まとめ
- 骨形成不全症は遺伝子異常によって骨が弱くなり、骨折したり変形したりしてしまう難病の1つ
- 骨形成不全症を抱える方は、人と接触するスポーツや、重たい荷物を運ぶような業務を避けることが推奨される
- 骨形成不全症をはじめとする難病・障害を抱える方は、就労移行支援などを利用した就職活動がおすすめ
現在は根本的な治療方法の見つかっていない骨形成不全症ですが、正しく症状を理解しておくことで、一般企業への就職も問題なく行えるでしょう。
チャレンジド・アソウは様々な難病・障害を持つ方の就職実績を持つ就労移行支援事業所ですので、就職活動でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。