障害者の方の就労移行支援
先天性股関節脱臼とは?就職事情や就労移行支援サービスも紹介

先天性股関節脱臼にお悩みの方におすすめの就労移行支援

先天性股関節脱臼とは?就職事情や就労移行支援サービスも紹介

先天性股関節脱臼は幼児期に発見して治療を受けていれば完治できる疾患ですが、無治療だったり治療が不完全だったりしたために、大人になってから変形性股関節症を引き起こし、つらい思いをしている事例が少なくありません。

ここでは、先天性股関節脱臼に起因する変形性股関節症で就職もままならないという方のために、障害者手帳と障害者年金の申請の仕方や、就職に関するサポートを受けられる就労移行支援事業所の利用の仕方について解説していきます。

チャレンジド・アソウ大阪事業所
職業指導員

監修:野村 一美

短期大学卒業後、一般企業の経理・総務・
人事・営業職を経験。その後、
以前から興味があった福祉に前職から携わることになり、計画相談員として従事しておりました。

「先天性股関節脱臼」は「発育性股関節形成不全」に変わった

「先天性股関節脱臼」は「発育性股関節形成不全」に変わった

「股関節脱臼(こかんせつだっきゅう)」とは、脚の付け根にある股関節を構成する骨と骨の位置がずれてしまった状態を指します。専門的に言うと、脚の大腿骨頭(だいたいこっとう)と骨盤の臼蓋(きゅうがい)を連結する可動部が正常な位置関係にない状態です。

この股関節脱臼が生まれつき発症しているものを先天性股関節脱臼といいます。しかし、赤ちゃんの股関節が生まれたときに完全に脱臼していることはなく、生後の環境要因によって脱臼するケースが多いことがわかり、最近は「発育性股関節形成不全(DDH:Developmental Dysplasia of the Hip)」と呼ばれるようになりました。

なお、「発育性股関節形成不全」という病名はまだ浸透していないので、ここでは「先天性股関節脱臼」として説明していきます。

先天性股関節脱臼の原因

先天性股関節脱臼は、出生後の股関節がまだ柔らかくゆるい状態のときの肢位(姿態)が大きな要因といわれています。

赤ちゃんの股関節はМ字状に屈曲しているのが自然な姿ですが、脚を伸ばした状態でおむつを当てていたり、おんぶや抱っこをしていたりすると股関節が無理に伸展することになり、脱臼が起りやすくなります。

おなかに巻く布おむつを使用していたころは、赤ちゃんの脚を伸ばした状態で当てていたため股関節脱臼の子供が多かったのですが、最近はおなか回りのギャザーがよく伸びるタイプの紙おむつが普及していることや、抱っこのしかたも両脚を広げる「コアラ抱っこ」が推奨されるようになり、日本での股関節脱臼の発症率は減少しています。

先天性股関節脱臼の治療

股関節の成長は15歳ごろまで続くといわれます。まだ関節が柔らかい状態の生後3~4か月ごろに診断がついた場合は、おむつや抱っこの仕方を工夫するなど、日常生活の中で股関節の正常な発育を促します。

整形外科ではリーメンビューゲルという装具療法が主体です。この装具を付けると股関節が自然に整復されるため、ほとんど股関節の変形を残すことがありません。

こうした治療を行えばたいていは完治します。完治しなかった場合は牽引治療を行います。それでも整復されない重度の脱臼では、5~10歳になってからソルター手術やペンバートン手術という骨切り手術が行われます。

先天性股関節脱臼での手術は完治が目的ではなく、大人になってから痛みが出ないようにする予防的手段のため、実施するかどうかは慎重に判断されます。

先天性股関節脱臼は「変形性股関節症」の原因に

先天性股関節脱臼は幼児期にきちんと治療を行えば完治しますが、治療が不完全だったり、気づくのが遅れて無治療だったりすると、大人になってから「変形性股関節症」を引き起こしやすくなります。

変形性股関節症は、初期は歩き始めるときに脚の付け根が痛くなり、時間とともに和らぎます。進行するにつれて痛みが強くなり、寝ている時も痛みが消えないようになるのが特徴です。

治療は薬物療法や運動療法が中心になりますが、改善が見られず重症化する場合は、年齢やライフスタイルを考慮したうえで手術が行われます。手術は、股関節をセラミックやチタン合金などでできた人工の股関節に置き換える「人工股関節全置換術」です。

この手術も疾患を治すものではなく、股関節を人工の関節に置き換えて体重を支え、安定した歩行を取り戻すことが目的です。術後10~20年経過して骨と人工関節の間にゆるみが生じた場合は、入れ替えのために再手術が行われます。

人工股関節全置換術を受けると障害者手帳の対象になる?

人工股関節全置換術を受けると障害者手帳の対象になる?

社会福祉に係る制度の1つに、障害のある人を対象とした手帳制度があります。障害者手帳を取得すると、税金の減免はじめ、光熱費など公共料金、公共交通機関の運賃、NHKの受信料、動物園などアミューズメント施設の入場料などが割引になります。

障害者手帳の種類

  • 身体障害者手帳:視覚、聴覚、音声、言語、肢体不自由、内部障害(心臓、呼吸器、腎臓、肝臓などの疾患)などのある方が対象。等級は1級~7級までありますが、手帳が交付されるのは6級までとなっています。
  • 療育手帳:18歳までに知的機能と適応機能に遅れが見られ、精神保健福祉センターなどで知的障害があると判定された方が対象。等級ではなく、重度「A」と重度以外の中軽度「B」の2種類に区分されます。
  • 精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳):統合失調症、うつ病、てんかん、発達障害などの精神疾患、薬物・アルコール依存などのある方が対象。1級~3級まであります。

先天性股関節脱臼や変形性股関節症で「人工股関節置換術」を受けたあと、関節可動域などに大きな制限のある方は4級と認定され、身体障害者手帳を取得することができます。

身体障害者手帳の申請方法

指定医(身体障害者福祉法に基づいて知事などから指定を受けた医師)による診断書と本人確認ができる書類(個人番号やパスポートなど)、写真、交付申請書を添付し、市区町村の「障害福祉窓口」に提出します。

申請は18歳以上の方は本人が行い、15歳未満の児童の場合は保護者が申請手続きをすることに。障害者手帳が発行されるまで1か月~3か月かかります。

障害者年金は受給できる?

障害者年金は受給できる?

障害があって日常生活に著しい制限を受けている24歳~64歳までの方に対し、生活を保障するために支給する障害年金制度もあります。障害等級は1級~3級まであり、人工股関節置換術を受けた方は3級(労働が著しい制限を受ける、もしくは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度)に該当します。

なお、障害者手帳と障害者年金の等級は別ですから混同しないようにしましょう。

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金がある

障害年金も老齢年金と同様に、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建てになっています。

障害基礎年金:等級は1級と2級のみで、年金額は下記のように定められています(2021年現在)。

  • 1級:2級の1.25倍で976,125円
  • 2級:年金額が780,900円(1級の50%)

障害厚生年金:等級は1級から3級まで。年金額は加入期間及び支払った保険料によって異なります。

  • 1級:報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級の金額
  • 2級:報酬比例の年金額+障害基礎年金2級の金額
  • 3級:報酬比例の年金額(最低保障額が585,700円)

それぞれに、配偶者や子供がいる場合は一定の金額が加算されます。

障害者年金を申請するときの注意点

障害年金を申請する際は、厚生年金に加入している方は初診日をいつにするかが重要になります。

20歳前に受診していたのであれば国民年金に加入していたことになり、障害等級3級で請求しても、障害基礎年金は2級までしかないため給付は受けられません。

3級で請求する場合は、初診日が厚生年金に加入した後になるように記載すれば、最低でも年金585,700円を受給できる可能性があります。

障害者年金の申請方法

申請に必要な書類は「年金請求書」「診断書」「受診状況等証明書」「受診状況証明書が添付できない申立書」「病歴・就労状況等申立書」などで、年金事務所や年金相談センターの窓口に用意されています。

障害基礎年金か障害厚生年金かによって申請窓口が異なるなど複雑ですので、自分で手続きをするのは不安という方は医療系に強い社会保険労務士に依頼することをおすすめします。

就職に悩む方は福祉サービスを利用しよう

就職に悩む方は福祉サービスを利用しよう

先天性股関節脱臼などの障害がある方は、重い物を持つことや長距離歩行、ハードな運動、それに正座やあぐら、和式トイレなど、股関節に負担のかかる動作は避けなければなりません。

仮に、人工股関節置換術を受けたとしても、立ち仕事はよくないなどさまざまな制約があります。無理をすると人工股関節の耐用年数を早めてしまうことも…。そのようなことから就職・転職で悩む方が多いです。

障害を持つ方の就職相談先としては「障害者就業・生活支援センター」や「ハローワーク」がありますが、仕事の紹介だけでなく、「就職に必要なスキルも身につけたい」という方には「就労移行支援事務所」が最も適しています

就労移行支援事業所とは?

就労移行支援事業所とは、障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」の1つ。「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合は「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、就労移行支援事業所は「訓練等給付」にあたります。

就労移行支援事業所は、就労意欲があるのに障害があって単独では就職活動がしにくいという方を対象とした通所型の福祉施設です。

就労移行支援事業所は、社会福祉法人やNPO法人、民間企業が運営しており、全国に3,400か所ほどあります(2021年現在)。

就労移行支援事業所ではどんなサポートを受けられる?

就労移行支援事業所では、次の4つのステップを踏んで就職・職場定着へとつなげていきます。

  1. 就労に必要な知識と能力向上のための職業訓練
  2. 求職活動に関連するサポート(一般企業での職場実習、履歴書の書き方や面接の仕方など)
  3. 利用者の適性に応じた職場の開拓(ハローワークなどと連携して就職先を探す)
  4. 就職後の職場定着のための支援(職場訪問などをして長く継続就労できるようにサポートする)

就労移行支援の利用対象者

就労移行支援を受けるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 原則18歳以上65歳未満の方
  2. 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、難病のある方
  3. 一般企業への就職を希望し、就労が可能と見込まれる方

精神障害の方は障害者手帳を持たなくても医師の診断書があれば利用できますが、身体障害と知的障害の方は手帳が必須です。

就労移行支援事業所の利用料金

就労移行支援事業所の利用料金は、国が定めている報酬金額(サービスを提供する事業者が受け取れる金額)の9割は国から給付されるため、利用者は1割負担が原則です。ただ、利用者の年収などに応じて金額が決められるので、自己負担は実質 0円で利用されている方が大半を占めています。

就労移行支援事業所を選ぶときのチェックポイント

就労移行支援事業所を選ぶときのチェックポイント

就労移行支援事業所のサービス内容はどこも一律というわけではありません。就労移行支援事業所によって力を入れる分野が異なり、カリキュラムもそれに応じて組まれています。その点を踏まえて、自分にとって必要なことを習得できる就労移行支援事業所であるかを確認することが第一のチェックポイントです。

就労移行支援事業所については、市区町村の障害福祉窓口に問い合わせたり、webサイトで調べることができます。市区町村の福祉課であれば、自分の住まいの近くにある就労移行支援事業所を紹介してもらえます。相談するときは自分の障害・疾患の特性や希望する職種、その他の条件をはっきり伝えることもポイントです。

通いたいと思う就労移行支援事業所が見つかったら見学をして、支援員の応対の仕方や事業所内の雰囲気、利用者の様子などを自分の目で確認することが大切です。そして「この就労移行支援事業所なら通いたい」と思えるところに決めるようにします。

利用する就労移行支援事業所が決まったら市区町村の福祉課に「利用申し込み」をして「受給者証」を交付してもらいます。この手続きは難しいものではありませんが、利用したい就労移行支援事業所に相談すれば手続きのサポートをしてもらえます。

事務系の仕事を希望するなら「就労移行支援事業所チャレンジド・アソウ」がおすすめ

先天性股関節脱臼や変形性股関節症のある方は、股関節に負担がかからない仕事ということで事務系の仕事を探す人が多いようです。

当サイトを運営している「就労移行支援事業所チャレンジド・アソウ」では、業界の中でも事務系に強い就労移行支援事業所として知られ、一般企業への就職率85%・定着率90%という高い実績を上げています

事務職でも一般事務、経理事務、営業事務、総務事務、貿易事務、学校事務・大学事務、医療事務などたくさんの種類があります。また、就労移行支援事業所チャレンジド・アソウの福岡本社では資格取得にも力を入れており、CS検定(コンピュータサービス技能評価試験)ワープロ部門・表計算部門の受験が可能です。

事務職で力を発揮したいという方は、就労移行支援事業所チャレンジド・アソウにぜひ一度ご相談ください。

まずはお気軽にお問合せください。

みなさんに安心してご利用いただくために、チャレンジド・アソウでは事業所見学や体験利用をおすすめしています。
実際にご自身の目で事業所の雰囲気やプログラムを
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