障害者の方の就労移行支援
環状20番染色体症候群とは?就労移行支援サービスへの相談・活用方法も紹介

環状20番染色体症候群の方への就労移行支援

環状20番染色体症候群とは?就労移行支援サービスへの相談・活用方法も紹介

てんかんを主な症状とする難病の1つに「環状20番染色体症候群」があります。

この記事では、環状20番染色体症候群の原因と主な治療方法、また社会生活を送るうえで必要となる配慮について解説していきます。

また指定難病を抱える方が利用できる就労移行支援サービスの概要もまとめているので、環状20番染色体症候群を患っており、かつ一般企業への就職を検討しているという方はぜひ最後までチェックしてみてください。

チャレンジド・アソウ博多事業所
就労支援員 精神保健福祉士

監修:山本 慎也

15年に渡りテレマーケティング会社等にて
人材育成・マネジメント業務に従事。
行政コールセンターの構築にて福祉に
触れたことがきっかけとなり現職に至る。

環状20番染色体症候群とは?

環状20番染色体症候群とは?

まずは、環状20番染色体症候群がどういった疾病なのか、その原因や症状、治療方法などを見ていきましょう。

環状20番染色体症候群の原因・症状

環状20番染色体症候群とは、細胞に存在する一対の20番染色体のうち、1つの染色体が環状(リング)になることで発症する疾病です。

環状20番染色体症候群の主な症状は、意識がくもって適切な行動がとれない状態になる「非けいれん性てんかん重積状態」というてんかん発作で、発作が起きると数分から数十分ほど継続します。

その他、環状20番染色体症候群では以下のような症状が見られる場合があります。

  • ミオクローヌス(筋肉・筋肉郡に起こる電気ショックのような短時間の収縮)
  • 小型または大型の運動発作
  • 複雑部分発作(驚いたような表情・奇妙な言動・手足をつっぱる・ばたばたするなどの動きを伴う発作)
  • 非対称性の強直発作(全身けいれんを伴う発作)
  • 過運動発作

細胞全体に占める環状染色体の比率は0.5%~100%とされ、必ずしもすべての細胞で環状染色体になっているわけではありません。

そのため、多くの細胞を調べないと環状20番染色体症候群であると分からない場合があります。

またなぜ環状染色体が出現するのか、なぜ環状染色体が出現することでてんかん症状が現れるのかといった原因は解明されておらず、遺伝子異常なども明らかになっていないのが現状です。

環状20番染色体症候群の治療方法と経過

環状20番染色体症候群に対しては、抗てんかん薬(バルプロ酸、ラモトリギンなど)による薬物治療が行われますが、極めて薬剤抵抗性があり、現在の治療では完治を期待することはできません。

年齢の経過とともに動きの目立つけいれん発作は目立たなくなる傾向にありますが、意識がくもる・ぼんやりして適切な行動ができなくなるといった症状は成人以降も継続します。

また脳の一部を切除するなどの外科治療は無効である他、ケトン食治療や迷走神経刺激療法の環状20番染色体症候群への有効性なども定まっていません。

環状20番染色体症候群の方に求められる配慮

環状20番染色体症候群の方に求められる配慮

続いて、環状20番染色体症候群を持つ方が従事しやすい業務や、仕事上で必要とされる合理的配慮の例について詳しく見ていきましょう。

対応できる業務内容の例

環状20番染色体症候群を抱える方は、いつ発作が起こるか分からないという状況で就労しなければなりません。

とは言え、発作時以外は問題なく業務を遂行することができるため、以下のようなデスクワークを主体とする仕事であれば、比較的働きやすいと考えられます。

  • パソコンを使ったデータ入力・事務作業
  • ライティングやデザイン系の仕事 など

一方で、環状20番染色体症候群の方は運転を伴う仕事や危険物を扱う仕事などには注意が必要です。

特に運転に関しては、免許の取得にあたって「運転に支障をきたすおそれのある発作が2年間起きていないこと」という旨の条件が定められており、そもそも免許を取得できない可能性があります。

仕事中に発作が起きたときのことを踏まえ、ミスの許されない業務は避けた方が良いと言えるでしょう。

仕事上で必要となる配慮の例

環状20番染色体症候群を患う方が安心して就労するためには、以下のような配慮が必要であると考えられます。

発作が起きた場合の対応 転倒に備えてクッション効果のある素材を壁・床などに使用する/安全装置を設置する/休憩スペースを確保する/早退・欠勤への対応 など
働きやすい環境の構築 相談役となる同僚・上司を配置する/長時間労働や夜勤を避ける/在宅ワークが可能な業務を割り当てる/こまめに休憩を挟む など
業務内容に関するフォロー 作業工程が分かるチェックリストなどを作成する/1つずつ指示を行う など

また発作の起きやすい時間帯や自覚症状などを自分自身がしっかりと把握しておくことも大切です。

自分の症状を上司や信頼できる同僚などに共有し、どのような配慮が必要なのかという点をすり合わせることで、より働きやすい環境を構築していけるでしょう。

障害・難病を抱える方の就職活動を支援する【就労移行支援】とは

障害・難病を抱える方の就職活動を支援する【就労移行支援】とは

環状20番染色体症候群などの指定難病を抱える方は、就労移行支援をはじめとする様々な福祉サービスを利用することができます。

ここからは、環状20番染色体症候群の方の就職活動をサポ-トする機関「就労移行支援事業所」の利用方法やサービス内容を詳しく見ていきましょう。

就労移行支援制度の対象・申請手続き・利用料金

就労移行支援とは、「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付の1つとして提供される福祉サービスです。

環状20番染色体症候群をはじめ、障害や難病を抱える方の一般企業への就職をサポ-トするための制度で、全国に3,400か所以上の就労移行支援事業所があります。

就労移行支援制度は、以下の要件を全て満たす方が利用の対象となります。

  • 18歳以上65歳未満の方
  • 身体障害・発達障害・知的障害・精神障害・指定難病のある方(※医師の診断書・通院証明書があれば障害者手帳を持っていなくても利用可能となるケースがあります)
  • 一般企業への就労または開業を希望する方で、就労が可能と見込まれる方

環状20番染色体症候群は指定難病に含まれる疾病ですので、就労移行支援制度の利用が可能です。

その他、就労移行支援の対象となる疾病の一覧はコチラ(https://www.mhlw.go.jp/content/000523362.pdf)からご参照ください。

また就労移行支援を利用するための大まかな手続きの流れは以下の通りです。

  1. 各市区町村の自治体にある福祉担当窓口へ相談
  2. 訓練等給付費支給申請書を窓口に提出
  3. 自治体の職員によるヒアリング・認定調査
  4. 就労移行支援事業所の利用計画案を作成
  5. 就労移行支援事業所の利用に必要な受給者証の交付
  6. 就労移行支援事業所と利用契約を締結
  7. 就労移行支援事業所への通所を開始

就労移行支援事業所の利用料金は全体の9割を市区町村が負担し、残りの1割を利用者が負担する仕組みです。

利用者の負担額は世帯収入によって以下のように異なります。

世帯収入状況 負担上限額/月
生活保護世帯、市区町村民税非課税世帯(おおむね年収300万円未満) 0円
市区町村民税課税世帯(おおむね年収600万円未満) 9,300円
上記以外 32,000円

就労移行支援の具体的なサービス内容

就労移行支援事業所で受けられる主なサービス内容は以下の通りです。

就職を目指すためのトレーニング 就職時に必要となるスキル・ビジネスマナーなどを習得するためのカリキュラムに取り組みます。またこれらのトレーニングを通して障害に対する理解や職業理解を深め、自分のやりたい仕事・できる仕事を見つけるサポートを行います。
就職活動支援 履歴書・職務経歴書の添削や、求人票のチェックなどを行います。また面接へ同行したり、就職に関する相談に乗ったりすることも可能です。
就職後の定着支援 就職先の職場で起こったことや悩んでいることに対する相談に応じます。内容によっては、直接企業側と相談を行うこともあります。

また就労移行支援事業所の中には、企業と提携して職場見学や実習などの機会を提供しているところもあります。

就労移行支援事業所によってカリキュラムの内容も様々ですので、まずはお近くの就労移行支援事業所のWebサイトなどを調べてみると良いでしょう。

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当メディアを運営する「チャレンジド・アソウ」は、福岡・広島・大阪に拠点を構える就労移行支援事業所です。

いずれの事業所も最寄駅から徒歩10分圏内にあり、1人1人に合わせた個別の支援計画に基づいて週1日から自分のペースで通うことができます。

チャレンジド・アソウからの一般企業への就職率は85.7%、またその後6か月間の定着率は90%と実績も確かな就労移行支援事業所です。

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てんかん症状を持つ方の働き方と就労移行支援の活用方法まとめ

  • 環状20番染色体症候群とは、染色体が環状になることでてんかん発作などを引き起こす指定難病の1つ
  • いつ発作が起こるか分からないため、座った状態で作業できる事務職やデザインなどのデスクワークが適している
  • 一般企業への就職を目指す場合は、求職から職場定着までの一連のサポートを受けられる就労移行支援事業所の活用がおすすめ

環状20番染色体症候群は治療方法が解明されていない難病の1つですが、症状の特性を正しく理解することで、一般企業への就職も可能となります。

障害・難病によって就職活動や就労の継続に困難を感じている方は、ぜひチャレンジド・アソウをはじめとする就労移行支援事業所への通所をご検討ください。

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