境界性パーソナリティー障害のある方が就職や転職を考えているなら、就職に必要なスキルの指導や就職活動のサポートが受けられる就労移行支援事業所を利用するのがおすすめです。こうしたサービスを利用することで就職にともなう不安が解消され、意欲的に活動に取り組めるようになるでしょう。
この記事では、境界性パーソナリティー障害の方が抱えやすい悩みとともに、就労移行支援をはじめとした障害のある方の就職をサポートするサービスをご紹介します。
境界性パーソナリティー障害(境界性人格障害)とは
境界性パーソナリティー障害(境界性人格障害)とは、感情や行動、対人関係が著しく不安定になり、日常生活に支障を引き起こしてしまう状態をいいます。ここでは、境界性パーソナリティー障害の主な症状と治療法をご紹介します。
境界性パーソナリティー障害の症状
境界性パーソナリティー障害の主な症状には以下が挙げられます。
- 感情の起伏が激しく不安定
- ネガティブな感情に陥ると衝動的な行動に走りやすい
- コミュニケーションが取れず対人関係が長続きしない
- 感情をうまくコントロールできずカッとなりやすい
- 常に虚無感や空虚感を抱えている
境界性パーソナリティー障害の治療方法
境界性パーソナリティー障害の一般的な治療方法は、精神科医や心理士による精神療法(カウンセリング)、抗うつ剤や抗不安剤を用いた薬物療法です。特に精神療法は境界性パーソナリティー障害の治療において重要な役割を果たすとされています。
治療期間は人によって異なりますが、比較的長期にわたることが多いため、患者と医師・心理士が協力しながら前向きに取り組んでいくことが大切です。
境界性パーソナリティー障害の方が抱える悩み・不安・困りごと
境界性パーソナリティー障害は、日常生活や社会生活において大きな支障をきたす可能性があります。境界性パーソナリティー障害のある方は、どのような不安や悩みを抱えているのでしょうか。
周りからの理解が得にくい
境界性パーソナリティー障害の症状として感情の起伏が激しく、時に過剰な反応をとってしまうことがあります。精神疾患は外見からは判断しにくため、境界性パーソナリティー障害であることを職場の人に伝えていない場合、なかなか周りからの理解は得られないでしょう。
境界性パーソナリティー障害については必ずしも職場に伝える必要はありませんが、治療中であると伝えておくことで仕事をするうえでの配慮を得やすくなるかもしれません。職場に信頼できる上司がいれば相談することも検討しましょう。
対人関係にストレスを感じやすい
境界性パーソナリティー障害の方は、何気ないちょっとした言動でもイライラが収まらず癇癪(かんしゃく)を起こすなど、怒りの感情が暴走することがあります。感情の波が激しいために人とのコミュニケーションが安定しにくく、周りの人を遠ざけてしまうことも。
人と接することにストレスを感じ、対人関係がうまく築けない傾向があります。
境界性パーソナリティー障害の方がストレスなく働ける仕事とは
境界性パーソナリティー障害の方が働きやすい仕事には以下が挙げられます。
- 在宅でできる仕事
- 自分のペースで進められる仕事
- ノルマがない仕事
- 集団行動を必要としない仕事
境界性パーソナリティー障害の方は感情が激しく揺れ動きがちなために生活リズムを崩しやすく、摂食障害や睡眠障害を引き起こすことがあります。外に出て集団の中で働くよりも、住み慣れた自宅でマイペースに進められる仕事が向いているでしょう。
また、境界性パーソナリティー障害はとりわけ対人関係において不安定になりやすい特徴があります。なるべく一人で進められる仕事、電話よりもメールやチャットツールでやりとりできる仕事であれば、ストレスなく取り組めるでしょう。
障害のある方の就職をサポートする就労移行支援などのサービス
民間企業における障害者雇用は年々増加の一途を辿っています。障害のある方が就職を目指すにあたっては、まずは地域障害者職業センターや就労移行支援などを利用し、就職活動全般のサポートを受けることをおすすめします。
ここでは、就職活動において障害のある方が利用できるサポート機関をご紹介します。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターではハローワークと協力し、障害のある方に対する専門的な職業リハビリテーションを提供しています。具体的には、一人ひとりのニーズに応じた職業評価や就職相談、職業指導などがおこなわれます。
地域障害者職業センターは独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営し、全国47都道府県に1か所以上設置されています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターでは、就業面と生活面の一体的なサポートがおこなわれています。就業面では就職相談や職業準備訓練などが受けられ、生活面では生活習慣や健康管理、地域生活などに関する助言がもらえます。
障害者就業・生活支援センターの運営法人はさまざまで、令和3年4月1日時点で全国に336か所設置されています。
就労移行支援事業所
就労移行支援とは、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスのひとつです。一般企業への就職を希望し、通常の職場への雇用が可能と見込まれる方が対象です。
就労移行支援事業所では、就労に必要な知識・能力を向上するためのトレーニング、就職活動のサポート、職場定着のための相談対応などがおこなわれます。サービスを利用するには障害福祉サービス受給者証を申請し、交付を受ける必要があります。しかし、基本的には就労移行支援事業所に相談することで、行政に必要な手続きなども簡単に進められるので、興味のある方は一度相談してみましょう。
就労移行支援事業所なら職場定着まで万全サポート
境界性パーソナリティー障害の方が就職を目指すなら、就職活動はもちろん就業後の職場定着までサポートしてもらえる就労移行支援事業所を利用するのがおすすめです。
就労移行支援事業所の特徴
就労移行支援事業所の特徴を表にまとめました。
対象者 | 一般企業への就労を希望する障害のある方 |
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利用期間 | 原則2年間(継続の必要性が認められた場合は最大1年間の更新が可能) |
事業の概要 | 就労に必要な活動や訓練の提供、適性に応じた職場の開拓、職場定着の支援などをおこなう |
事業所数 | 3,006事業所(国保連データ令和3年1月) |
利用者数 | 34,645人(国保連データ令和3年1月) |
参考:厚生労働省|障害者の就労支援について(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf)
なお、平成30年4月からは一定の要件を満たした場合に限り、65歳以上の方も就労移行支援事業所を利用できるようになっています。
おすすめの就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」
障害のある方のための就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」では、それぞれが抱える悩みや不安を丁寧に聞き取りながら、一人ひとりのペースに合わせた個別支援計画を作成しています。
そんなチャレンジド・アソウの就業後半年の職場定着率は業界最高レベルの94.3%。アソウ・ヒューマニーセンターグループの取引企業とも連携し、就職活動から就職後の職場定着まできめ細かくサポートしていきます。そのほかの実績や利用者の声なども公開しているので、ご興味のある方はぜひ次のページをご覧になってください。
まとめ
境界性パーソナリティー障害とは、感情・行動・対人関係において極度に不安定な状態になり、日常生活や社会生活に支障をきたす精神疾患です。
人とのコミュニケーションがうまくとれず、対人関係でストレスを感じやすいことから、境界性パーソナリティー障害の方には自分のペースで進められる仕事や在宅で働ける仕事が向いていると考えられます。
就労移行支援事業所では、就業前の相談やスキル訓練、就業後の定着支援まで、就職活動のサポートを一貫して受けることができます。境界性パーソナリティー障害のある方が就職を目指すなら、就労移行支援事業所の利用をおすすめします。