膀胱機能障害は蓄尿・排尿機能に障害を持つ疾患で、心臓病などと同じ内部障害の一種です。
膀胱機能障害は見た目に症状が現れにくいため、就労移行支援などを活用しつつ、理解のある会社への就職を目指すのがおすすめです。
この記事では、膀胱機能障害を抱える方にとって働きやすい職場の特徴や、障害者の方が利用できる就労移行支援サービスについて解説していきます。
膀胱機能障害とは?内部障害の種類と症状
まずは、膀胱機能障害をはじめとする内部障害の種類と、主な症状・治療方法を詳しく見ていきましょう。
内部障害の種類
内部障害に分類される疾患として、以下の7種類があります。
障害名 | 特徴 | 主な病名 |
---|---|---|
心臓機能障害 | 心臓から全身に血液を送り出すための機能が低下する障害 | 不整脈・狭心症・心筋梗塞など |
呼吸器機能障害 | 肺機能の低下により酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる障害 | 慢性気管支炎・肺気腫など |
腎臓障害 | 腎臓の働きが低下し、老廃物や水分の排出ができなくなる障害 | 慢性腎不全・糖尿病性腎症など |
直腸膀胱機能障害 | 直腸・膀胱の機能低下により、排泄機能が妨げられる障害 | 過活動膀胱・神経因性膀胱・尿失禁など |
小腸機能障害 | 小腸の機能が低下し、消化吸収がうまくできなくなる障害 | 小腸間膜血管閉塞症・小腸軸捻転症など |
肝臓機能障害 | 肝臓機能の低下により、倦怠感・黄疸・吐血などが生じやすくなる障害 | 肝炎・肝不全など |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV) | 白血球の一種であるリンパ球の破壊によって免疫機能が低下する障害 | エイズるい痩・真菌感染症など |
これらの障害に共通するポイントとして、「一見すると障害があるように見えない」ということが挙げられます。
実際に、疲れやすい・ストレスを感じやすいといった症状があるものの、食事や着替えといった日常生活は1人で行える場合が多いのも特徴です。
そのため就職活動を行う際は、きちんと自分の障害について説明し、理解を得たうえで必要な配慮を受けられるかどうかを確認することが重要となります。
膀胱機能障害の原因
膀胱機能障害は、内部障害の中でも膀胱に関する障害の総称です。
肛門につながる直腸の障害と併発しやすいため、直腸膀胱機能障害として一括りにされることもあります。
通常、上腹部にある腎臓でつくられた尿は、尿管を下降して膀胱に貯まっていきます。
そして尿が一定量まで貯まると脳が命令を発し、膀胱が収縮を行うことで体外に排泄されるという仕組みです。
ところが、膀胱・尿道に関わる神経の働きなどに異常があると、脳からの命令が正しく伝わらず、蓄尿障害や排出障害を引き起こしてしまいます。
神経に異常が出る原因としては、脳梗塞・脳出血・脊髄や背骨の疾病・糖尿病など様々な病気が挙げられます。
また老化や生活習慣病が膀胱機能障害の原因となっているケースもあり、必ずしも原因が1つであるとは限りません。
一般的な治療方法
膀胱機能障害・直腸機能障害の治療法には以下のようなものがあります。
保存的治療(リハビリ) | 排尿排便を我慢するために、骨盤底筋・膀胱・肛門括約筋などの筋力を強くする |
---|---|
薬物治療 | 排泄・蓄積機能を改善するための薬剤を服用する |
手術 | 原因となる疾患の手術・人口尿道を埋め込む手術・神経に電気刺激を与える手術など |
この他、膀胱機能障害の方は排泄コントロールのために下剤を服用したり、オムツの着用を行ったりすることがあるため、これらに伴う精神的負担に対してもケアが必要です。
膀胱機能障害を持つ方にとって働きやすい職場とは
膀胱機能障害などの内部障害を抱える方であっても、体調管理を行いながら一般企業へ就職することは可能です。
続いて、膀胱機能障害の方が就職活動を行う際に確認した方が良いポイントについて詳しく見ていきましょう。
医療環境が整っていること
就職を希望する会社の医療環境がどの程度整っているかという点は、しっかりチェックする必要があります。
具体的なチェックポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 会社の中に休養室や健康管理室が設けられているか
- 血圧計・AEDといった基本的な医療機器が設置されているか
- 産業医(医学に関する専門的な立場から、職場の労働者の健康管理を行う医師)が在籍しているか
これらの環境が整っている会社であれば、勤務中に体調不良を感じた場合でも、迅速な対応を取ることができるでしょう。
勤務時間の調整に対応してもらえること
膀胱機能障害を抱える方の中には、定期的な通院が必要な方も少なくありません。
そのため、勤務時間内の通院を認めてもらえるかどうか、また有給休暇を取得しやすいかどうかといった勤務時間に関する制度も確認しておきましょう。
また長時間の勤務が難しい場合は、フレックスタイム制や時短勤務を導入している企業を選ぶと安心です。
就労移行支援を活用した就職活動
様々な就労移行支援を活用することで、膀胱機能障害などの内部障害に理解のある会社を見つけやすくなります。
ここからは、膀胱機能障害の方が利用できる主な就労移行支援サービスについて詳しく見ていきましょう。
ハローワーク
ハローワーク(職業安定所)は、厚生労働省が運営する職業紹介事業所です。
障害を抱える方のための窓口が設けられており、一般枠と合わせて障害者枠での求職情報をチェックすることができます。
また就職に関する相談を聞いてもらったり、アドバイスを受けたりすることも可能です。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障害のある方に対して専門的な職業リハビリテーションを行っている機関です。
全国の都道府県に設置されており、障害者職業カウンセラーやジョブコーチといった専門職員が在籍しています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、仕事だけでなく生活面における相談全般に対応している機関です。
ハローワークをはじめ、雇用・保険・福祉・教育などの関連機関と連携し、就業支援や指導を行っています。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害者のサポートを行う通所型の福祉サービスです。
就職の際に必要となるビジネスマナーの講習や職業訓練、職場見学といった幅広い事業を展開しています。
就労移行支援事業所は全国に3,000か所以上あり、就職後の定着支援を含めて最大で3年間通うことができます。
就労移行支援事業所に通所するメリット
就労移行支援事業所とは、膀胱機能障害などを抱える方たちが、一般企業への就職を目指すためのスキルを習得する施設です。
障害者福祉手帳を持っていない方であっても、医師や自治体の判断で通所が認められるケースが多いです。
最後に、就労移行支援事業所に通うことで得られるスキル・メリットについて詳しく見ていきましょう。
仕事をするうえで必要なスキル・知識の習得
就労移行支援事業所では、一般企業へ就職する際に必要となるビジネスマナー・スキルなどの講習を実施しています。
利用者の方が抱える障害に合わせたサポートが受けられるため、これまで気付くことができなかった長所や特性の発見につながる場合もあります。
また企業と連携して職場見学や職場体験を実施している就労移行支援事業所も多く、事前に環境を把握できることで、安心して就職活動に臨める点もメリットの1つです。
膀胱機能障害に理解のある職場に就職できる
就労移行支援事業所では、ハローワークなどの関連機関と連携しながら就職活動のサポートを行います。
そのため、ハローワークへ一般枠での求人を出している企業の中でも、膀胱機能障害に対して理解のある企業を探すのが比較的楽になるというメリットがあります。
事前に膀胱機能障害への理解があることが分かっていれば面接でも伝えやすいですし、就職後も適切な配慮を受けながら安定してキャリア形成を行えるでしょう。
就職後の定着支援まで受けられる
就労移行支援事業所の特徴として、就職が決まったあとの定着支援も実施しているという点が挙げられます。
入社後も継続して勤務できるよう、こまめなフォロー・アドバイスを実施したり、内容によっては雇用者側と交渉したりするのも就労移行支援事業所の役割です。
就職活動は孤独な闘いになりやすいですが、就労移行支援事業所に通うことで、心理的にも落ち着いて臨めるようになるでしょう。
膀胱機能障害の方が利用できる就労移行支援サービスまとめ
- 膀胱機能障害は蓄尿・排尿機能に障害をきたす内部障害の1つ
- 膀胱機能障害を抱える方は、職場の医療設備が整っている職場や、勤務時間の対応が柔軟な職場を選ぶのがおすすめ
- 様々な就労移行支援を活用することで、障害に理解のある会社への就職がスムーズになる
当メディアを運営する「チャレンジド・アソウ」も、幅広いサービスを展開する就労移行支援事業所の1つです。
一般企業就職率85.7%、就職後定着率90%など豊富な実績を持つ就労移行支援事業所となっているので、通所をお考えの方はぜひ一度お問い合わせください。