自分のできることで周りの人の役に立てることがうれしい
Oさん(女性)
♦インタビューにご協力いただきありがとうございます。
まずはプロフィールを教えてください。
20代女性で、現在は大学内にある図書館で事務補助職で働いています。
♦チャレンジド・アソウを利用する前はどのような状況でしたか?
学生時代からタスクを先延ばしにして提出物が出せなかったり、起床できず遅刻して単位を落としたりと、時間管理が苦手でした。また浪費しがちでお金の管理も苦手でした。
それでも学生まではなんとかやってこれましたが、卒業後、社会人になると困ることが格段に増えました。上司に指示されたことを理解しながらメモすることが難しく、何度も同じ注意を受けることが続きました。人間関係としても良好とは言えず、1年ほど勤めた頃に鬱病と診断され退職にいたりました。
♦障害の特性について教えていただけますか?
診断としては鬱ですが、医師からは発達障害についてもグレーゾーンと言われています。
・マルチタスクや優先順位をつけることが苦手
・臨機応変な対応が苦手
・時間や金銭の管理が苦手
♦診断を受けた時はどのようなお気持ちでしたか?
鬱については「私でもなるんだな」と思ったくらいでしたが、発達障害については明確に診断が出なかったことに対して「こんなに生きづらさを感じているのにグレーなのか」と悲しい気持ちになりました。
♦チャレンジド・アソウの利用を決めた理由を教えてください
チャレンジド・アソウ含め3つの事業所を体験しました。駅から近かったこと、社員や訓練生のみなさんが親切にしてくれたことが決め手です。特に、訓練生同士で休憩時間に雑談しているのを見て雰囲気がよいと感じました。
♦実際に利用を始めてから、困ったことはありましたか?またどうやって乗り越えましたか?
通所を開始してからもしばらくは遅刻が続き、時には訓練終了時間に到着することもありました。また、個人のタスクはやっぱり後回しにしてしまっていました。でも、チャレンジド・アソウでは社員のみなさんが、どうしたら遅刻せずに済むか、期日を守れるか、ずっと一緒に考えてくれました。以前からずっと「改善しなければ」とわかっていながらも一人では取り掛かれずにいたことでしたが、何をしないといけないかが可視化され、行動に移すことができました。
本当にいろいろなことを試しましたが、特に頑張ったのは生活リズムの管理です。就寝前のルーティン設定や、アラームの設定方法など、細かくルール化してチェックリストを作成し、社員さんへの提出を続けることで継続的に意識づけしました。また、最終的にはチェックリストがなくても行動できるようになりました。
♦チャレンジド・アソウで特に印象的だった出来事はありますか?
私はあまり人前で話すことが苦ではないのですが、自分にとっては当たり前のことで、特段強みだと思ったことはありませんでした。ですが、チャレンジド・アソウで面接時の受け答えがとても上手だと褒めていただき、他の訓練生の前でお手本としてロールプレイをする機会をいただきました。苦手なことにばかりフォーカスしがちだったので、こうやって褒めていただけたことが本当に嬉しくて、一番印象に残っています。
♦現在はどのようなお仕事をされていますか?
大学内にある図書館で、図書整備や館内整備をしています。カウンターで来館者対応をしたり、頻度は少ないですが電話応対もしています。
事務職を探していたところ、たまたまこちらの求人を見つけました。実は大学時代に司書を目指していたこともあって、応募にいたりました。
上司の方が丁寧に業務の説明をしてくださいますし、業務量も調整していただいているので、無理なく働くことができています。自分のできることで、周りの人の役に立てていることがとても嬉しくやりがいを感じています。
♦仕事をするうえで工夫していることはありますか?
新しい業務を教えていただくときには必ずメモをして、記憶が新しいうちにマニュアル作成をしています。慣れた業務では、マニュアルなしでも業務にあたることができています。
♦就職後のチャレンジド・アソウの定着サポートはいかがでしょうか?
内定時、職場の上司に私の障がいについて詳しく説明をしてくださいました。就職後にも職場に来ていただいたり、月に一度チャレンジド・アソウで面談をしてもらったりしています。業務のことはもちろん、時にはプライベートな悩みも聞いてもらっています。卒業生として現在の訓練生との座談会に参加したのも楽しかったです。
♦こちらもいつも前向きに頑張っている話をお聞きして元気をもらっています!最後に、今後の展望や目標を教えてください。
まずはとにかく1日1日のお仕事をきちんとこなすこと、生活リズムをキープすることを頑張りたいです。また、今は通信制の大学に通っているので、学生時代にとれなかった司書の資格取得も目指しています。
♦インタビューにご協力いただきありがとうございました!また座談会などへの参加もお待ちしています。
スタッフからのコメント
いつも誰にでも笑顔で明るくお話ししてくださるので、第一印象としてはわかりづらいですが、実はいろいろなことに困っていたのですよね。また、困っていても、相手が忙しそうなどつい遠慮してしまい「相談をする」ということもなかなかできずにいらっしゃいました。
チャレンジド・アソウ通所中は、事あるごとに報告・連絡・相談をしていただいていましたので、ビジネスマナーの向上とともに、声をかけるハードルも少しずつ下げていくことができました。また、チェックリストについては、失敗しては別の方法を試したり、項目も多かったりと、向き合い続けることは本当に大変だったはずです。でも、社員に言われたからやるのではなく、Oさん自身が何とかしたいと思い頑張っておられたこと、そしてその頑張りを今も続けておられることが、本当にすばらしいと思います。課題に対して素直にひたむきに努力できることもまた、Oさんの強みですよね。
社会人としても、新しい課題にぶつかったり、うまくいかなかったりすることはあると思いますが、まずはぜひ相談してくださいね。一緒に解決方法を探しましょう。そしてゆくゆくは「チャレンジド・アソウがいなくても平気です!」と言っていただける日を目指していきましょう。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。