利用者の体験談
Wさん【発達障害・精神障害/50代】

Wさん【発達障害・精神障害/50代】

不安、緊張を乗り越えて就職

Wさん(女性)

wさんは発達障害・精神障害がある50代の方です。

パソコン未経験、でも事務職で就職したい

就労経験は医療事務系の仕事をしていましたが、
パソコンは未経験で、設置・起動からスタートしました。

「コードをつなぎ、電源を入れ、マウスを動かして操作する」という準備の段階も
メモにとり、一度で理解できなかった部分も質問をして、日々繰り返していくことで少しずつ慣れていきました。

カリキュラムの中に、選択式でパソコンの基礎を学ぶ時間がありましたが
不安が強いながらも欠かさずパソコン作業を選択していたWさん。
時には画面を見ていると頭痛が起きるという相談を社員に持ちかけたこともあります。

社員からのアドバイスで画面による不調が現れたときは、
目を離して、休憩時間はしっかりと休むことを守りました。

不安が強く、常に力が入っている状態の日々

Wさんは特性上、不安が強く常に力が入っている状態でした。
調子が良くない時は手や声が震え、混乱した際は「話が難しくて理解できない」と相談されたこともあります。

環境の変化に追いつくために、時間がかかるMさん。
トレーニング内での最初の目標は「人の話や発表を聞く事」でした。

大変素直なWさんは、トレーニングルームの中でも緊張が高かったため
他の訓練生と共に座っているだけでも不安だったのです。

そして通所を続けて数か月経ち慣れてきたころ、パソコンの基本的な扱いを習得、
カリキュラムにも慣れてきて、もさらに意欲的に取り組むことができるようになってきました。

挨拶も丁寧にこなし、終日カリキュラムを受けることができる日も増えてきたため、
Wさんの次のステップとして、「カリキュラムで発表する」という目標が持ち上がります。

発表カリキュラムの参加

チャレンジド・アソウの発表では、色んな場面で行うことがあります。
朝礼での「今日の目標」、終礼での「目標振り返り」、
「コミュニケーションワーク」、「リサーチタイム結果」などです。

同じ空間に複数人の訓練生がいる中で、声を発することはWさんにとってハードルが高いと思われていました。

しかし、どのように、どんなことを言えばいいかは、前に個人面談などで社員と相談して準備を整えたこともあり、時間がかかることなく目標の発表などができるようになりました。

始めは声が震えたりしていたMさんですが「最後までやり遂げた」という成功経験を重ねることによって、少しずつ笑顔が見られるようになったのは目覚ましい進歩です。

「今日は、リサーチタイムで初めて発表できたことがうれしかったです」
ポジティブな感想も伝えることができるようになりました。

その後は電話応対のカリキュラムでも内容のメモ取り、質問、復唱まで丁寧に行うことができ、緊張しながらも落ち着いてやればできるんだということを実感したようです。

事業所外での過ごし方

事業所内で社員やほかの訓練生とも問題なくコミュニケーションが取れるようになってきた頃、外部での雰囲気に慣れていくことになりました。

合同面接会や実習マッチング会など、さらに多くの人がいる中に身を置いて、雰囲気に慣れることで今後の就職活動に備えます。

会場までのルート検索も、社員とインターネットを使って行うことができました。
実習や面接を踏まえてイメージできるようにしておくことは、Mさんにとって必要なことでした。

職場実習

Mさんにグループ会社での事務職の実習の提案が持ち上がりました。
強制ではありませんが、Wさんは「行ってみたいです」と返答。

社員はルート確認をして、実習先まで一人でけるよう「通勤練習」を複数回行いました。

「この駅に降りて、この出口に進み、左の角を曲がってこの看板の下を通る」目印を決めてメモに残し、実習先までの道のりを整理しながら覚えます。

何度目かに「わからなくなりました…」ということもありましたが、
覚えているところまで引き返し、反復して目印を覚えながら通勤経路を覚えていきました。

実習前に通勤練習をしておくことにより、一人で実習先に行けるようになったことも、Mさんにとっては「成功体験」として残されました。

医療業界での採用条件

Wさんの就職活動はスムーズには行きませんでした。
職場の雰囲気や対象者の年齢、仕事内容、場所など、真面目で努力家でも
ミスマッチングを防ぐために遠回りをすることは、就職活動でもよくあることです。

それでも就職活動に励み続けた結果、医療業界での事務職で採用が決定しました。

社員も喜んでいましたが、それもつかの間。入社前の健康診断で懸念事項が発覚しました。

幸いにも産業医の面談を経て懸念事項が解決するまで、企業側は入社を待っていただけることとなりました。

「毎日食べていた菓子パンはやめて、野菜や肉・卵などたんぱく質を中心にした食事にすること」
「最寄り駅から一駅分歩いて通所すること」

など、生活習慣を変えるため、栄養の知識を見直して食生活と運動習慣を変える必要がありました。

採用のために、生活習慣を激変させる

Wさんは社員と栄養管理を徹底し、食べたものはノートに記録して管理、
自宅までは最寄駅の一駅前から歩いて通所することを実行しました。

継続できる計画の為、数値の低減はゆるやかでしたが、少しずつ健康値に近づいてきました。
しかし、企業が提示している値にはまだまだ遠かったのです。

それから3か月間、諦めず生活改善を心がけていたWさんは
数か月後にはなんとか健康値をクリアすることができました。

就職決定は生活習慣の変化と共に

日々の努力の末、Mさんは採用されました。

一日の勤務は10時~16時の週3日の勤務をスタートされています。

環境に慣れることに時間がかかることが懸念されましたが、不安や緊張感を抱えながらも「休まず出勤する」「質問と相談する」ことを意識して勤務を続けています。

持ち前の真面目さや、人のことを考えて行動する優しい性格から評価も高く、今後は勤務時間も伸ばしていきたいと意欲的です。

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