11月14日、今津にある福岡市視覚障害センターにて、今回初の取組みとなる、異業種企業4社と九州大学学生合同の暗ラーニング研修を行いました。
同業者だけでなく異業種の企業が複数混じること、また学生が加わることで、より多種多様な人の構成になり、そこから今までと全く違った観点を多く得ようという事が目的です。
特別ゲストとして、㈱日本メディカルプロパティマネジメントより相馬 陽胤さんが講師として参加するほか、
九州大学からはピア・サポーター学生育成プログラムを受講している学生の皆さんにもご参加いただきました!
多様な人々の社会参画推進を目指す大学生のチームが参加し、社会人チームが協同で行った事こそが、のちのち社会人チームに大きな気付きを与えるのでした。
暗ラーニングって、何だろう?
暗ラーニング研修の目的とは?
この研修の特徴の一つは、研修の殆どが体験型のワークであるということです。
120分間の研修を通して、私たちはコミュニケーションの難しさ・そして今まで気づかなかったコミュニケーションに必要なことに気付くことができるのです。
では、どうやって気づくのか……? そのヒントが、もう一つの特徴です。
暗ラーニングではアイシェードを使用し、「視えない」状態でワークを行います。
人間の五感における知覚の中で、視覚は約80%を占めると言われ、情報のほとんどを目から取り込んでいます。
つまり、私たちは視えている状態でも知らず知らずのうちに視覚でコミュニケーションをとっているということ!
チームの全員が「視えない」状態の中、協力してワークに挑戦することにより、今まで気づかなかったコミュニケーションの課題を発見することができるのがこの暗ラーニングなのです。
暗ラーニングはどんな人に向いてるの?
暗ラーニングには対象年齢や性別などはありません。
同じ社内でも、部署や年齢・性別が異なると何だか距離を感じる……。普段からその距離感に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
互いに視えない状況の中で今まで持っていた先入観を捨てることが、年齢・性別・国籍・部署・会社すべてのコミュニケーションギャップを取り払うきっかけになります。
社内外、部署や役職を越えた人間関係をもっと深めたい、上司や部下とのコミュニケーションをもっと円滑にしたい、そんなあなたにオススメです!
突然ですが、あなたの課題、教えてください。
先輩社員 本山 昇さん
入社歴:9年目
現在の業務内容は?:営業(技術者派遣、請負など)をはじめとして、スタッフの採用・管理を行っています。
後輩社員 田上 大樹さん
入社歴:2年目
現在の業務内容は?:エンジニアの派遣、中途採用の支援をさせて頂いております。また、新卒採用支援で、学校との関係性の構築や学生との面談などにも携わっています。
お二人は業務中、どのような場面でコミュニケーションの課題を感じていますか?
本山さん
お客様やスタッフ、社内での関係構築の場面で、相手に伝えたいことが正確に伝わっていなかったり、相手の気持ちや考えを奥深く絡みとろうとしても上手くいかないことにコミュニケーションの難しさを感じます。
田上さん
1つの目的に対して全員が行動する時に課題を感じます。どんなに大きな団体であろうが、全員が同じ目的を持って行動しなければ、目標も達成できないと思っています。
はたして、2人の課題は暗ラーニングで解決できるのか?!
秋の暗ラーニング祭り、スタート!
ヒーローインタビュー
ここではアイシェードを外し、1チームの中で話し手役とインタビュアー役を回していきます。
ここで重要なのは「聴く」側であるインタビュアー役の存在。話し手が本当に話したいことは何か? うまく話の核心を引き出さなければなりません。
相手が話したいことに興味を持つと、どうやったらそれが聞き出せるか考えながら質問をすることになります。
ゴールボール体験
3人1組となって行う視えないスポーツ「ゴールボール」。このワークでは役割分担が非常に重要となります。誰がボールを持っているのか、誰がどこを守るのか。
声の掛け合いによって役割分担の確認をします。1回目のゲーム終了後にはチームごとに作戦会議をしました。すると、2回目のゲームではアイシェードに慣れてきたのもあってか皆さんの動きがよくなっているではありませんか!
チーム内の声の掛け合いと振り返りの重要性を学んだワークでした。
福笑い
4人1チームとなり、1人が指示役、3人はアイシェードを着けて顔のパーツを台紙に置いていきます。
指示役は配置・向きが正確になるように声を掛けていきますが……
指示の出し方も人により受け取り方が違います。普段の会話ではつい「アレ・コレ」「あっち・こっち」「もうちょっと」なんて言い方をしてしまいがちですが、その曖昧な表現を具体的にすることにより誰に対しても受け取りやすい発信をすることができるのです。
視えない食事
ご覧の通り、物を配るのも手探りというこの状況。こぼさないようにするだけでも精一杯なのかもしれませんが、上手に食べるだけがこのワークの目的ではありません。
何を食べて、何を飲んでいる?今回はその答えまで出さなければならないのです。視覚を奪われている状態だと、味を判断するのは意外と難しい……!
味覚・嗅覚・はてはペットボトルの形状を触って確認しながら、チーム内で答えを出しあいます。
さて、答えはいかに?
まとめ
講師・大隈 多恵さん
本研修は“言葉が頼り”。普段はあまり自分からは発信しないという人達も、様々なワークを通じて無理なくコミュニケーション力があがっていくのが見て取れました。
コミュニケーションには課題がないと考えていた人達も、よりスムーズに意思疎通が図れる言葉の選び方、聴き方・尋ね方を工夫する機会になっていたようです。
コミュニケーション力があがるとチームワークに変化があり、「勝負に勝つ工夫」や「早く達成するための工夫」が取り入れられていきました。
研修後には、「もっと仲間を頼っていいことがわかった」「日頃の指示の出し方が不明瞭だった」など、チームとしてひとつのものを目指す素晴らしさと共に、個人の課題に対する“答え”が発見できた方も多数続出。
実現場で活用できる答えや気づきが見つかるこの研修の特徴をフルに活用されていました。
今回は特に年齢・経験の違いにとらわれない、幅広い気づき・学びを得られた時間となりました。
暗ラーニング研修を振り返って……
本山さん
視覚を使わずに相手とのコミュニケーションを取る事の難しさを学び、日常のコミュニケーションの取り方がいかに「雑」だったかを再認識しました。
抽象的な言葉では相手に伝わりにくい為、具体的な数量や場所などを用いた伝え方により、円滑なコミュニケーションが図れるように今回の研修を活かしていきたいと思います。
田上さん
自己開示できる環境を作ることが全員で目的を達成できる方法の一つだと思いました。
メンバー一人一人が目的に対して自分の意見を主張できれば、具体的な戦略、戦法、戦術が考えられると思います。また、各人の役割が明確になり、責任感を持って仕事ができ、達成感も得られるのではないかと考えています。
暗ラーニング研修は随時実施中です!
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