障害や難病を抱える方が一般企業や会社などへの就職を目指す就労移行支援制度。
実はこの就労移行支援には一般型と養成施設型の2種類があるのです。
今回はこの就労移行支援の一つ養成施設型について解説していきます。
チャレンジド・アソウ博多事業所
就労支援員 精神保健福祉士
監修:山本 慎也
15年に渡りテレマーケティング会社等にて
人材育成・マネジメント業務に従事。
行政コールセンターの構築にて福祉に
触れたことがきっかけとなり現職に至る。
就労移行支援とは
就労移行支援とは一般就労を目指す障害や難病を抱えている方をサポートするために提供されるサービスのこと。
就労移行支援の対象者
- 身体障害、知的障害、精神障害、及び難病を抱えている方
- 65歳未満である
- 一般就労への意思があり、この時点で就労をすることが可能な方
利用料
就労移行支援制度を利用する際の料金は前年度の収入額により変動します。
ただ就労移行支援サービスを行う就労移行支援事業所に通う方の9割以上が無料で利用できているというデータもあります。詳しくはお近くの行政窓口か就労移行支援事業所に問い合わせてみるのが良いでしょう。
世帯収入状況 | 負担上限額/月 |
---|---|
生活保護世帯、市区町村民税非課税世帯 (おおむね年収300万円未満) |
0円 |
市区町村民税課税世帯 (おおむね年収600万円未満) |
9,300円 |
上記以外 | 32,000円 |
事業所で受けることができるサービスの内容や利用期間とは
では実際に就労移行支援事業所で受けることができるサービス内容とはどのようなものがあるのでしょうか。
就労移行支援制度サービスは「一般型」と「養成施設型」に分かれており、それぞれサービス内容や期間は違います。
一般型のサービス内容や期間
就労移行支援の一般型は一般企業や会社に就職を希望する方をサポートするサービス。
18歳以上、65歳未満を対象としており、利用期間は原則2年間と定められています。
就労移行支援で受けることができるサービスは以下のようなものがあります。
- 就職するための体調管理やストレスコントロールなどを身につける
- ワードやエクセルなど実務系スキルや軽作業などのビジネススキルやマナー習得
- 就職活動や適職探しのサポート
- 就職成功後、職場定着ができるように手助けや調整
養成施設型のサービス内容や期間
対して養成施設型のは主に視覚障害者の方が利用されるサービス。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の学校や養護施設において、それぞれの専門資格や免許を取得するための支援を目的としています。
期間は3年、または5年と一般型とは異なります。
養成施設型を利用する際の専門家庭でのカリキュラムとは
あん摩・マッサージ・指圧、はり・きゅうのスペシャリストとして就労移行支援サービスを利用後、仕事をしていくにはまず国家試験を受験し、合格する必要があります。
養成施設、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の学校や養護施設で受けることができるカリキュラムは以下のようなものがあります。
1年次に学ぶ内容
体の構造を学ぶ解剖学や体の働きを学ぶ生理学、東洋医学の考え方を学ぶ東洋医学概論、さらに経穴の位置や取り方等を学ぶ経絡・経穴概論などを1年次は学んでいきます。
これに加えてあん摩・マッサージ・指圧、はり・きゅうに関する基礎実習等も用意されています。
2年次に学ぶ内容
2年次には様々な疾患について学ぶ理療臨床医学各論、病気の診察などを中心に学ぶ臨床医学総論、疾患のメカニズム等を学ぶ病理学概論などを中心に学んでいきます。
また一般型の就労移行支援と同じように応用実習なども行います。
応用実習としてはあん摩・マッサージ・指圧、はり・きゅうの実技、様々な疾患の治療を想定した内容となります。
またあん摩・マッサージ・指圧、はり・きゅう以外でも人文科学概論・社会科学概論・自然科学概論・保健体育等の科目も1、2年次を中心に学んでいきます。
3年次に学ぶ内容
3年次では、治療を中心としたより実践的な内容になっていきます。
西洋・東洋の様々な医学的治療法を学ぶ医学臨床論や健康の保護や疾病の予防について学ぶ公衆衛生学、リハビリテーション医学、按摩・マッサージ・指圧や鍼灸の治療効果のメカニズム等を学ぶ歴史と理論を含めた基礎知識を学んでいきます。
さらに地域社会でのあん摩師や鍼灸師の果たす役割や医療制度、治療院経営等について学ぶ地域医療と理療経営について。
そして臨床実習としてあん摩・マッサージ・指圧、はり・きゅうを実際に患者さんを治療していくことも行います。
3年間の養成施設利用の場合は、卒業後、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験受験資格が与えられ、これらの3級の試験に合格すると厚生労働大臣認可の理療師(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)の免許を取得となるでしょう。
免許取得後は、治療院の開業、病院・治療院・企業・老人ホーム・デイサービス施設等への就職、PTや理療科教員の養成学校等への進学を選ばれているようです。
就労移行支援サービスを受けるための手続き
では実際に就労移行支援、特に養成施設型のサービスを受けるにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
一般型の就労移行支援については行政窓口にサービス受給者証の申請をし、認定調査を受け、サービス等利用計画案提出を行い、受給者証が発行された後、就労移行支援事業所を利用し始めます。
しかし養成施設のサービスを利用する際にはサービス受給者証の申請をし、認定調査を受け、サービス等利用計画案提出を行い、受給者証が発行された後、基本的にあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の学校や養護施設の審査を受けることになります。
一般型は暫定で受給者証が発行されることもありますが、養成施設型は暫定発行はありません。