胸椎損傷のある方が就職活動を始める場合、職業相談や職業訓練などの職業リハビリテーションが受けられるサポート機関を利用するのがおすすめです。
ハローワークや就労移行支援事業所では、就職活動におけるさまざまな情報や就職に向けたスキルの提供など、胸椎損傷のある方が社会に出て活躍していくための支援がおこなわれています。
この記事では、胸椎損傷を負われた方が働きやすい環境とともに、障害のある方の就職をサポートするサービスやおすすめの就労移行支援事業所についてご紹介します。
胸椎損傷(きょうついそんしょう)とは
胸椎(きょうつい)とは、頸椎(けいつい)と腰椎(ようつい)の間にある12個の椎骨です。
脊椎(せきつい)の中央を構成し、各胸椎は上から下へ「第1胸椎(T1)」〜「第12胸椎(T12)」と呼ばれます。胸椎、すなわち胸部分の背骨の損傷を「胸椎損傷」といいます。
ここでは、胸椎損傷の主な症状や胸椎損傷を負われた方が抱える悩みをご紹介します。
胸椎損傷の主な症状
胸椎損傷とは、何らかの原因によって負った胸椎の脊髄神経の損傷です。
損傷を受けた部分が胸椎なら胸椎損傷、頸椎なら頸椎損傷といいますが、これらは脊髄損傷に含まれます。胸椎損傷の原因には、交通事故や高い場所からの落下、転倒などがあります。
胸椎損傷を負うと下半身(損傷部分から下)に麻痺が残り、体幹の動きは12個ある胸椎のうち何番目に損傷を負ったかで変わります。
排泄機能は失われ、日常生活における移動には車椅子が必要です。また、胸椎損傷のある方は手や指は動かせるものの、排泄や入浴、着替えなどの際にはサポートが欠かせません。
胸椎損傷者が抱える悩み・困りごと
胸椎損傷を負われた方は下半身の機能が失われるため、移動の際には車椅子を使用します。
日常生活や社会生活を送るうえでは、階段や段差が多い場所、車椅子対応のトイレが設置されていない場所では困ることが多いでしょう。
また、胸椎損傷のある方は排泄の問題によって仕事に支障をきたすことも考えられるため、就労を目指すには職場の理解が必要になります。
胸椎損傷者が働きやすい仕事・職場環境
産業医(従業員の健康管理を担う医師)の設置は従業員数50名以上の職場に限られ、そのうち専属産業医の設置義務があるのは、従業員数1,000名以上か有害業務従事者数500名以上の職場とされています。
職場は病院のようにすぐに治療や看護が受けられる場所ではないため、就業先は胸椎損傷のある方が働きやすい環境を選ぶことが大切です。
在宅勤務ができる仕事
在宅勤務が可能な仕事には、事務職や編集者、システムエンジニア、プログラマーなど、必ずしも出社の必要がない仕事が挙げられます。
在宅勤務であれば通勤が不要で、排泄のタイミングに気を遣うこともないため、胸椎損傷を負われた方も働きやすいでしょう。
障がい者雇用に積極的に取り組む企業
障がい者雇用とは、一般雇用とは別に設けられた障害のある方だけの採用枠(=障がい者雇用枠)において障害のある方を雇用することです。
企業は障害があることを把握したうえで雇用するため、障害のある方に応じた仕事内容や環境整備などの合理的配慮を得やすいと考えられます。
たとえば、職場内の移動に介助者をつける、車椅子に対応したトイレを設置する、段差にスロープを取り付けるなど、車椅子での移動を想定した環境が整っていれば、胸椎損傷のある方も安心して働けるでしょう。
障害のある方の就職を支援する機関【ハローワーク・就労移行支援など】
身体障害や知的障害、精神疾患などの障害のある方が就職を目指すなら、職業相談からスキル習得の講座・プログラムの提供、就業後の定着まで支援してくれる就職活動のサポート機関を利用するのがおすすめです。
障がい者雇用に関する情報の提供や就業に必要な知識・技能の習得、スキルアップなど、障害のある方が利用できる就職支援のサービスは多々あります。
ここでは、ハローワークや就労移行支援事業所など、障害のある方の就職を支援するサービスをご紹介します。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)には障害のある方専用の窓口があり、個々の障害に応じた相談対応や職業紹介をおこなっています。
地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターなど他のサポート機関とも連携し、障害のある方の社会復帰を支援しています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、障害者職業カウンセラーを配置し、職業指導や職業評価、職業訓練といった「職業リハビリテーション」を提供する施設です。
胸椎損傷など障害のある方個々の状況やニーズに応じた支援を実施するとともに、障がい者雇用を実施する企業への専門的な助言もおこなっています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害のある方が自立した職業生活を送れるよう、就業面と生活面において一体的な支援を提供するサービスです。
職業相談や職業訓練のみならず、日常生活や地域生活に関する助言も受けることができます。
就労移行支援事業所
就労移行支援とは、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスのひとつとして、一般企業等への就職を希望する障害のある方を支援するサービスです。
就労移行支援を提供する事業所は全国に約3,000か所あり、約35,000人が利用しています。
就職活動のサポートなら就労移行支援事業所がおすすめ
就労移行支援事業所では就職相談からスキル習得の訓練、就業後の定着支援まで一貫サポートしています。
胸椎損傷のある方が就職支援を受けるなら、就労移行支援事業所の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
就労移行支援事業所の特徴
就労移行支援事業所の特徴は、就職前の職業相談や就職に向けての講座・トレーニング、働き続けるための就業後支援まで、胸椎損傷など障害のある方の就職サポートを一貫して提供していることです。
就労移行支援事業所の支援対象は身体障害、知的障害、精神障害、難病のある方で、医師の診断書または意見書があれば障害者手帳がなくても利用できます。
また、就労移行支援事業所における入所期間は原則2年以内とされていますが、継続の必要性が認められた場合に限り最大1年間の更新が可能です。
おすすめの就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」
障害のある方のための就労移行支援事業所「チャレンジド・アソウ」では、個別計画をもとに担当社員が利用者一人ひとりに合わせた支援をおこない、就業後も月に1回以上の面談で職場定着をバックアップしていきます。
また、ビジネスマナーやビジネスコミュニケーション、パソコン操作、実務実習など、就労移行支援事業所内でさまざまな講座を開講し、仕事に必要なスキルを習得したい方やスキルアップを目指したい方を徹底的に支援しています。
まとめ
胸椎とは脊椎の中央、頸椎と腰椎の間にある椎骨を指し、胸椎部分における脊髄神経の損傷を「胸椎損傷」といいます。
胸椎損傷を負われた方は下半身に麻痺が残り、日常生活における移動には車椅子が必要となります。
胸椎損傷のある方も利用可能な就労移行支援事業所は、就労を希望する方の就職活動や就業後の定着を一括でサポートする場所です。
就労移行支援事業所では就業に必要なスキルを身につけるための講座やトレーニングが開講され、履歴書や職務経歴書の添削、企業への面接同行、就業後の面談など、就職し働き続けるためのさまざまな支援が提供されています。
胸椎損傷があって就職に困っている方、就職相談ができる場所を探している方は、就労移行支援事業所の利用をおすすめします。