障害者雇用について
障害者雇用の現状とは?障害がある方の求人・採用・就職・転職について

障害者雇用の現状とは?障害がある方の求人・採用・就職・転職について

障害者雇用に関しては、2018年からの法改正で企業などに義務付けている障害者採用の割合が引き上げられたほか、2019年には障害者向けの国家公務員試験が初めて行われるなどの動きがありました。

ここでは、障害者雇用の現状について説明します。

チャレンジド・アソウ 広島事業所 /
チャレンジド・アソウ 大阪事業所 /
チャレンジド・アソウ 新大阪事業所 管理者
サービス管理責任者

監修:池田 倫太郎

株式会社チャレンジド・アソウ
立ち上げの中心メンバー。
就労移行支援事業、就労定着支援事業、
特例子会社の運営を行う。

民間企業での障害者雇用や採用の現状

障害者雇用促進法では、一定以上の規模の企業などに対して障害者の雇用を義務付けています。

内閣府の「平成30年版 障害者白書」によると、平成29(2017)年6月時点での雇用障害者数は身体・知的・精神障害者合わせて約49万人*で、障害者雇用が義務付けられている企業の従業員のうち1.97%にあたります。

つまり、社員50人あたりおよそ1人が障害者ということになります。

また、企業規模ごとに見ると、大企業ほど障害者雇用の割合が高い傾向にあります。

ただ、この決まりを遵守している企業は全体の約半数に過ぎないという現状も存在しています。

(*身体・知的重度障害者の場合は1人の雇用を2人分とカウントし、重度障害者の短時間勤務は1人とカウント。また、障害の有無にかかわらず短時間勤務は0.5人の雇用とカウントして算出)

法定雇用率とは?法改正で何が変わった?

障害者雇用促進法によって企業などが雇用しなければならない障害者の割合を「法定雇用率」といいます。法で定められた障害者の雇用率であり、対象企業は、従業員数の中で障害者が占める比率を法定雇用率以上にしなければなりません。

そして、2018年からの法改正では、法定雇用率について変更がありました。

法定雇用率の引き上げ

具体的には、法定雇用率の引き上げです。以下のように変わりました。

障害者の法定雇用率
事業区分 改正前 平成30年4月1日以降
民間企業 2.0% 2.2%
国、地方自治体 2.3% 2.5%
都道府県等の教育委員会 2.2% 2.4%

また、2021年4月までにさらに0.1%引き上げるとしていて、民間企業の場合は2.3%となる予定です。

法改正と精神障害者の雇用

2018年の法改正のポイントはもう一つあります。

これまでの「障害者雇用」とは、身体障害者と知的障害者のみが対象でした。今回の法改正では、精神障害者も雇用の対象になっています。

精神障害者を必ず雇用しなければならないという決まりはありませんが、企業としては精神障害者が雇用対象に加わったことで受験者が増え、雇用率を上げやすくなることや、精神障害に関する社会的な認知が進み始めていることもあって、精神障害者の雇用に積極的な企業も出てきています。

ハローワークなどを通じた障害者雇用の現状

ハローワークを通じた障害者の求職者や就職率は、全体としては増加傾向にあります。

ハローワークでの求職・就職状況

平成29(2017)年度のハローワークを通じた求職者や就職件数を障害の種類別に見ると、以下のようなものでした。

新規求職申込件数(件) 就職件数(件) 就職率
身体障害者 60,533 26,756 44.2%
知的障害者 35,742 20,987 58.7%
精神障害者 93,701 45,064 48.1%
その他の障害者 12,167 5,007 41.2%
合計 202,143 97,814 48.4%

特に精神障害者の求職申込と就職件数が、年を追うごとに大幅に増加しています。

障害者向け国家公務員試験

2019年には、障害者向けに初めての国家公務員選考試験が行われました。

事務職員を念頭に置いた募集で、全国で8712人の申し込みに対し754人が採用され、倍率は11.6倍の高さでした。

合格者の年齢は18歳から59歳。また、障害別での内訳は身体障害者319人、知的障害者3人、精神障害者432人で、精神障害者が最多でした。

受験資格は主に、以下のようなものでした。

  • 身体障害者手帳もしくは身体障害に関する医師による診断書・意見書、または、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
  • 1959年4月2日以降に生まれた人で、2018年4月1日の段階で義務教育終了から2年以上経過している

1次試験の際には、視覚障害者の場合は読み上げ機能のあるパソコンの持ち込みを許可し解答時間を長く設ける、また、視覚障害がある場合には拡大文字での試験、機能障害で筆記が難しい場合にはパソコンでの回答ができる、など一定の配慮がなされました。

しかし、2次試験では申し込みが殺到したために、一部機関が締め切り前に予約の受付を中断したり、全員の面接が終わる前に一部の受験者に内定通知を出したりする不手際もありました。

今後の実施予定はまだ明らかにされていませんが、公務員試験を視野に入れつつ、民間での就職活動をするというのも一つの選択肢になっていきそうです。

障害者の求人が多い業種と仕事内容

ハローワークの平成29年度の産業別就職状況での障害者の就職先業界です。実際の就職件数と、障害者の就職に占める割合は以下のようなものでした。

医療、福祉 35,566件(36.4%)
製造業 13,595件(13.9%)
卸売、小売 12,412件(12.7%)
サービス業 10,288件(10.5%)
運輸、郵便 4,424件(4.5%)
宿泊、飲食サービス 4,258件(4.3%)

内容から見ると、多い仕事は以下のようなものです。

運搬、清掃、包装など 33,767件(34.5%)
事務的職業 20,282件(20.7%)
生産工程の職業 12,666件(12.9%)
サービスの職業 11,803件(12.1)%
専門的、技術的職業 6,628件(6.8%)
販売の職業 4,762件(4.9%)

仕事内容に関しては、ハローワーク全体の就職状況に比べると、障害者雇用では「運搬、清掃、包装など」の仕事が圧倒的に多くなっています(ハローワーク全体では14.1%)。

特例子会社とは

企業が障害者の雇用にあたって特別の配慮をした子会社を設立できる制度です。障害者が働きやすいように設備を充実させ、仕事の内容を障害の内容に応じて切り出すなどの配慮がなされています。

障害の内容は人それぞれなので、大規模な親会社では細かな調整が難しい場合もあります。こうした時、特例子会社は比較的規模の小さい会社になりますので、障害者ひとりひとりにより対応しやすくなります。

なお、特例子会社には、主に次のような要件が定められています。

  • 身体、知的または精神障害者を5人以上雇用し、かつ全従業員に占める割合が20%以上であること
  • 雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者および精神障害者の割合が30%以上であること

ここで障害者雇用率が高く設定されている背景には、特例子会社での障害者雇用数を親会社の雇用数にカウントできる、また、障害者雇用に必要な設備を特例子会社に集中的に設置できる、というメリットがあります。

実際、特例子会社の数と、特例子会社での障害者雇用の人数は年々増加しています。

身障者の就職等での合理的配慮とは

障害者雇用促進法では、企業など事業主が障害者の採用から就業以降にあたって、障害者が能力を発揮できるよう、障害の内容に応じた配慮をする責務が定められています。これを合理的配慮と言います。

ただ、企業の負担には限界があります。例えば社屋全体にわたって工事が必要なものなど、負担が重すぎる場合は除外されます。

具体例は後述しますが、厚生労働省は以下のような配慮を求めています。

1)合理的配慮の提供(障害者雇用促進法第36条の2から4)
募集・採用時
  • 視覚障害がある人に対し、展示や音声などで採用試験を行う
  • 聴覚、言語障害がある人に対し、筆談などで面接を行う
就業後
  • 肢体不自由のある従業員に対し、机の高さを調節するなど作業を可能にする工夫をする
  • 精神障害のある従業員に対し、出勤、退勤時刻や休暇、休憩に配慮するほか、体調や通院に配慮する
  • これらの配慮内容は、障害者と事業主とでよく話し合って決める
2)相談体制の整備・苦情処理(障害者雇用促進法第36条の4、第74条の4)
  • 事業主は、障害者が利用できる相談窓口、体制を整備する
  • 障害者からの苦情は自主的に解決する努力

また、障害のある従業員と事業主の話し合いだけでは自主的な解決が難しい場合には、紛争解決を援助する仕組みがあります。担当窓口は各都道府県労働局の職業安定部です。

合理的配慮の具体的事例

障害の内容や配慮を必要とする場面は人それぞれですし、目に見えない障害もありますので、まずは障害者から配慮を求める意思を表明し、内容を伝える必要があります。

厚生労働省は、これまでの合理的配慮の提供例として以下のようなものを紹介しています。

1) 視覚・聴覚・言語の障害

  • パソコンの読み上げソフトを使って業務ができるように、可能な限り電子媒体でやり取りする
  • 業務連絡の放送内容を、メールでも行うことにした
  • 視覚・聴覚障害者に配慮して、会議の際は誰が発言するのかを明確にするために名乗ってから、あるいは挙手してから発言する

2) 肢体不自由

  • 満員電車での移動が困難なため、在宅勤務などを活用し混雑時間帯を避けて通勤できるようにした
  • 車いすでの作業ができるように、板でかさ上げするなどして机の位置を調整した
  • 常に車いすに座っているため床ずれができた従業員用に、パーテーションで区切った場所に簡易ベッドを設置し、車いすから降りて休憩できる場所を確保した

3) 精神障害

  • 通院日に合わせたシフト作成をし、やむを得ない場合は通院のために休めるようにした
  • 長時間の勤務継続は疲れやすいため、休憩時間の配分を調整し、1時間おきに休憩できるようにした
  • 本人の希望を踏まえ、障害の内容や必要な配慮について職場で説明を行った

4) 発達障害

  • 聴覚過敏の従業員に対し、人の行き来が少ない部屋で勤務できるようにし、耳栓などの使用を許可した

上記はあくまで一例であり、実際に勤務を始めてみると、意外なところで困りごとが出てくることもあるでしょう。合理的配慮は、障害者の能力を最大限に引き出すための環境整備ですので、担当者とこまめにコミュニケーションを取り、可能な範囲で調整をしてもらうことが大切です。

面接時にどのような合理的配慮があるのかを確認するのも一つの方法です。

障害者の転職や失業時にやること

転職する時や失業した場合、次の職場を見つけるために必要な手続きや、利用できる制度があります。

これらを最大限に活用するほか、離職をきっかけに再度働き方を見直すのも良いでしょう。

離職後の流れ

離職後、最初にすべきことはハローワークで失業手当の申請です。同時に、求職登録をします。

その後の選択肢は様々ですが、離職の原因を振り返り、その上で決めるのが良いでしょう。

1) すぐに求職活動を行う

職業生活自体に大きな問題はないが、別の会社で働きたい、違う仕事を探したい、ステップアップをはかる、あるいはその他の事情により離職した場合です。

もちろん、希望通りの仕事が希望通りの時期に見つかる保証はありませんが、再びハローワークで求職活動を始めます。

この時、同時に障害者就業・生活支援センターで生活面などの相談をしながら進めるのも良いでしょう。

2) 特定のスキルを獲得して再就職したい

希望する分野のスキルを身につけてから再就職したい場合、障害者職業能力開発校(ハロートレーニング)を利用できます。

国や自治体が運営しているものや民間委託のものがあり、施設によって内容は異なりますが、電子技術や建築CAD、ソフトウェア開発、会計ビジネスなどの訓練コースがあり、それぞれの業種への就職へと結びつけます。

問い合わせ先は、ハローワークです。

3) 職業生活の基本を学び直したい

仕事をするにあたって必要な一般知識を学び直す、あるいは生活を改善したり体力をつけたりの準備をもう一度してから就職活動に臨みたいという場合、就労移行支援事業所を利用するのが良いでしょう。

基本知識・スキルを学び、民間企業での職業体験などを経た上で自分に合った仕事とはどのようなものかを見極め、就職につなげます。

4) ゆるやかな働き方に変えたい

体力や精神面から、一般企業での仕事を続けることが難しいと判断した場合、一般企業よりも手厚いサポートのもとで職業生活を送る、あるいはマイペースで生産活動や社会参加をしたいという場合に、就労継続支援事業所を利用できます。

施設の利用を継続するうちに体が整い、通常の職業生活を送れる見込みになれば本格的な訓練に移行できますし、就職を目的とせず、仲間づくりや社会参加の場所として利用する人もいます。

離職する場合、何らかの理由があるのは当然です。その理由が仕事内容なのか、ステップアップという目標のためなのか、人間関係なのか、または自分の体力などの問題なのかを見極めた上で離職後の行動を決めましょう。

焦りだけで無理な再スタートを切ってしまうと、結果的に何度も就職や転職活動を強いられることになります。

ハローワークの障害者専門窓口や各地の障害者就職・生活支援センターは幅広い相談ができる場所ですので、積極的に利用すると良いでしょう。

まとめ

障害を抱えながら職業生活を続けることは、容易ではありません。しかし、周囲に合わせようとして心身を消耗する人もいるでしょう。

しかし、障害者雇用には、障害者を必要な生産力と捉えている側面があります。ですので、自分の能力を十分発揮できるよう、受け身になるのではなく困りごとや頼みごとははっきりと伝え、周囲と円滑なコミュニケーションを取れる環境を自ら作り出すようにしましょう。

企業が望んでいるのは我慢ではなく、仕事を継続してもらうことです。医師との相談や各種制度を利用し、安定した職業生活を送れる方法を選びましょう。

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